ヴァンの中の淑女

  • 2017.01.04 Wednesday
  • 17:58
久しぶりに黄金町(=昔の青線地帯)にある「シネマジャック&ベティ」に行って来た(本日はレディスデイ)。
相変わらず真昼間に歩いてても、一定の緊張感を強いられる界隈だ…。
目的はこちら↓
ミス・シェパードをお手本に(原題:“The Lady in the Van ”』


イギリス映画+非恋愛映画+マギー・スミス主演だぞ!
わたしが見逃すわけないだろが!(笑)


そんな映画に限って単館上映なんだもんな〜、ここに行くしかないじゃん?
皆、おんなじこと考えるじゃん?
結果、そらもう大賑わいじゃん!
ジャック&ベティで上映30分前にチケット買って、整理券が53て初めてよ…(ジャック114席がほぼ埋まってるのも初めて)。
【ボロは着てても心は錦!ポンコツ車のレディがやってくる!】
ほとんど真実の物語。北ロンドン・カムデンタウン。通りに停まっているオンボロの黄色い車の中で生活しているのは、誇り高きレディ“ミス・シェパード”だ。近所の住人たちは親切にするが、彼女はお礼を言うどころか悪態をつくばかり。ある日、路上駐車をとがめられている姿を見かけ、劇作家ベネットは自分の駐車場に車を入れることを提案・・・それから15年。一時避難のはずが、居座り続け奇妙な共同生活を送っている。彼女の突飛な行動に頭を抱えつつも、いつしかベネットは、なぜかフランス語が堪能で音楽にも造詣が深いミステリアスなミス・シェパードに作家として惹かれていく・・・。
劇作家アラン・ベネットは、勿論実在の英国の有名な劇作家で、映画『英国万歳!』の脚本家でもあるし、近所にはヴォーン・ウィリアムズの二度目の妻(=アーシュラ・ウッド)も住んでいた。
…というセレブやインテリ、エリート階級が暮らす家の前に、汚物と悪臭をまき散らすホームレスの棲家であるヴァンが路駐する。
排除しないどころか、クリスマスのプレゼントやディナーのおすそ分けなんかを細々と気を配る住人たち。これが「優しさ」「親切心」からじゃなくて、「罪悪感」からっていうのがリアルで大変よろしい。
でもって、そのホームレスは“Thank you”も“Sorry”も一切言わない偏屈ばばあときたもんだ。
これだけ不愉快な条件がそろってるにもかかわらず、舞台作品から映画になったというのがよく分かるウィットのきいたセリフの応酬、奇人なのに貴人に見えるマギー・スミスの好演、そしてアレックス・ジェニングスの絶妙な受けの芝居のおかげで、愉快なだけどじんわり沁みる愛すべき映画に仕上がってます。
とにかく、英国らしい要素が詰まってる映画で、英国好きなら観て損はなし!
地味な映画なのに、しょっちゅう忍び笑いが起こり、今観客全員で楽しんでる!と実感するほど熱量が感じられました。

主役はミス・シェパードなんだけど、視点は完全にアラン・ベネットというのも面白い。しかも、劇作家アラン・ベネットと、生活者アラン・ベネットが同時に存在し、会話する。
しかも、ラストには、死んだはずのミス・シェパードが墓地に現れ、結末にケチを付けるというメタ風味あり。
いろんな見方ができて本当にクォリティが高い映画です。

ミス・シェパードの人生については、悔やまれることばかりだったり、適切な方法を取ってさえいたらこんな死に方をする人じゃなかったとも思うんだけど、最期まで自由に誇り高く(勝手気ままに)生きることができたという意味では、彼女自身は満足してたのかも。

近所の住民はたまったもんじゃないけどなー(笑)。

NYの魔法使い

  • 2017.01.01 Sunday
  • 20:16
Happy New Year!!おめでとう

っつっても、年賀状書きも大掃除も年始回りも初詣もやらないわたしにゃ、通常運転の週末ですが何か←正月行事に興味なし
あ、でも今日は「映画の日」なんで、隣りの市で映画を観て来ました。
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

略して「ファンタビ」と言うらしいよ。
せっかくのバリバリ英国人エディ・レッドメイン(『レミゼ』のマリウス)主役なのに、吹き替えしかなかったのが超残念です。ちなみにエディの吹き替えは『ユーリ!!!onIce』のJ.J.だったわぁ。

御存知『ハリポタ』シリーズの番外編、というか前日譚?『ハリポタ』シリーズ続行中の時に、ホグワーツの教科書で『幻の動物とその生息地』っていうのが発売されてたんですが。


映画『ファンタビ』の主役ニュートは、その作者。
時代的には1920年代、英国の魔法使いニュートがNYにやってくるところから始まります。
正直(吹き替えということもあって)、ほとんど期待しないで観に行ったんだけど、想定以上に楽しめました。なんつっても、「ファンタスティック・ビースト」こと魔法動物が実に表情豊かで面白い。見た目が可愛くなくても、仕草や表情が人間臭くていい演技するんだよなぁ(CGだけどさ)。

でも一番の収穫は、なんと言ってもエディ・レッドメインの演技です。
ニュートの「こいつ、頭が悪いというより、血の巡りが悪いんじゃないか」と思わせるようなとろくさそうなオタク演技と、動物を相手にしたときの生き生きとした解放されたような雰囲気の対比が、クソ長い映画にメリハリをつけてて全く飽きない。さすがオスカー俳優。
あと何気に英米の魔法使いの違いとか(非魔法使いのことを英国では「マグル」、アメリカでは「ノーマジ(No Magic)」と言うとか)、お国自慢とか面白かった。出来ればそこら辺、原語で聴きたかったけど。

どうせファンタジーなら、クリーデンスを死なせないで、「ノーマジ」コワルスキーさんが念願のベーカリーを開店した時に店員として迎えてほしかったけど、そう簡単に全方位ハッピーエンディングにしない辺りが、J.K.ローリングなのかもしれない。

マダムとミスター

  • 2016.12.09 Friday
  • 14:15
遠藤淑子のコミックじゃなくってよ。
母と二人で観て来ました、『マダム・フローレンス 夢見るふたり』。

*旧相鉄ムービルは金曜がレディスデイ

若い頃のヒュー様、好きだったわー

…という方は、是非観に行きましょうね。

年食ったヒュー様、超かっけー!

…ってなるから。

『モーリス』や『フォー・ウェディング』の美貌で鳴らしていた頃も好きだし、『ブリジット・ジョーンズの日記』や『ラブ・アクチュアリー』での「ロマコメの帝王」っぷりも嫌いじゃないけど、『U.N,C.L.E』にしろこの映画にしろ、最近のヒュー様は若い頃より輝いているというか、居場所を見つけたというか。
むしろ、今の方がわたしは好きかもー。
この映画では、大富豪の妻を献身的に支え、妻の夢をかなえようと奮闘…しているようで、病弱な妻が休んだ後は当たり前のように愛人の元へ通う夫役なんですが、これを女性がメイン(であろう)観客に不愉快に思わせたり憤らせたりしないで、まぁそれもアリだよね〜と思わせるのは、世界広しと言えどもヒュー様ぐらいだと思うの(笑)。
なにしろ、超絶音痴の妻のリサイタルの為に彼がしているのは、客の選別と評論家の買収。何かっちゃ、カネの威力で黙らせる。言ってみれば、実に卑劣なことしかしてないんだけど、それを優雅にさらっとやっちゃうのがヒュー様の魅力。
勿論、この映画、主役のマダム・フローレンスを演じたメリル・ストリープの死と隣り合わせにもかかわらず懸命に生きているひたむきさや、生まれながらのお金持ちゆえの無邪気さや愛らしさも観客の胸を打つんですが、ミスター・ベイフィールド役にヒュー・グラントを起用したからこそ成り立った作品だと言えるんじゃないか。
彼じゃなかったら、夫にラブラブなメリルの役が光らないし、妻の遺産目的で動いているしょーもないヒモ夫でしかなかったと思うんだわ。

映画の予告や、宣伝の時点では、てっきりマダムがカーネギーホールで歌って、(建前上)大成功で映画は終わり、「一か月後に亡くなった」字幕で補記してクレジットかな〜って思ってたんですが、唯一買収に応じなかったNYポストの酷評をマダムが目にするところを入れてたので、そういえばこの映画、英国映画だったわ、と思い出しました。
しっかり現実を見せるあたりが、シビアなBBC制作映画ですわね。
ちなみに監督は、『クィーン』や『あなたを抱きしめる日まで』といった英国ベテラン名女優主役の映画で有名なスティーヴン・フリアーズ。
でも、それを知っても「私が歌ったことは現実として残るのよ」と言うマダムと、「そうだね」ってにっこり微笑むシンクレアの姿に涙腺崩壊。

ところで、このマダムが手に取ったNYポスト(1944年10月26日)の一面見出しが“Japan Seapower Broken”(だったかな?)で、気になって調べてみたら「レイテ沖海戦」でコテンパンにやられてた時期でした。
そら、湯船一杯にポテトサラダ作っちゃうくらいの富豪がいる国に勝てっこないわー。

ラングドン教授のフィレンツェ案内

  • 2016.11.02 Wednesday
  • 11:53
ちょこっとヴェネツィアとトルコも。

ダン・ブラウン原作の「ラングドン教授シリーズ」映画第三弾『インフェルノ』を観て来ました。


わたしだってたまにはメジャー級の映画も観るんだいっ!

あれ?だけど原作の順番て『ロスト・シンボル』の方が先じゃなかったっけ?『インフェルノ』って比較的最近読んだ気がする。
…とは言え、細部をいい感じに忘れていたので、シエナがサン・マルコ大聖堂から一人だけ脱出して単独行動し始めるとこなんか、まるで初めて目にするかのようにびっくりしてる自分に笑える。
そういえばこの女はこーゆーヤツだったと慌てて思い出しました。ホント、おバカ!
制限時間内に解決しなければならないミッションと、二重三重に追われる状況は前二作と同じだけど、ラングドン教授が軽い記憶障害で大事なことを忘れてるってのが今作の特徴。
故に、自分を追い詰める複数グループのうち、誰が味方かをラングドン教授と一緒になって、我々も見出そうとするので、とにかく映画の前半は忙しい。
そして、事前に原作を読み、(わたしと違って)しっかり覚えていても、映画はきっちり楽しめます。なぜなら、

ラストが大幅に原作と違う!

若い女と昔なじみの女性のどっちを選ぶかというラングドン教授の恋バナで、オチを変えんでも…(^^ゞ
シエナの異常なほどの「早熟な天才性」をラングドン教授が結構スルーしてくれるものだから、それ故に生じた彼女の孤独や悲劇性が薄れて、原作の核心が変わっちゃった気がします。天才は天才に惹かれて、天才同士でしか分かり合えず、厨二病を発症。それ故引き起こされかけたパンデミックなのに。
まぁ、映画ならではの「勧善懲悪」を狙ったのかな〜。

英国が一部舞台の『ダヴィコー』はともかく、『天使と悪魔』や『インフェルノ』のバチカンやイタリアへはわたしは行ったことがないので、こうして映画化されて実際の街並みや観光名所を実際に観ると、やはり理解度が高まります。
ウフィツィ美術館の天井画が壊されちゃったけど、いいんですかね?(もちろん作品世界で、という意味)
ラングドン教授の薀蓄と博学ぶりは相変わらずでしたが、トム・ハンクスの老け具合が想像以上にすさまじくて、原作の若々しい永遠のナイスミドルなラングドン教授の面影まるでなし(第一作からして「コレジャナイ感」は否めなかったけど)。
三重・四重顎のラングドン教授なんて見たくなかったよー!!

裏切り者は誰だ

  • 2016.10.26 Wednesday
  • 16:13
長い道のりでした…。
ジェレミー・ノーザム出演を知って、原作を図書館で借りて読んだのが2014年8月17日
映画公開マダァ-(AA略)からはや2年。ようやく日本で公開となった『われらが背きし者』。


実に満足のゆく映画でした!

主なキャスト
ペリー(ロンドン大学の教授):ユアン・マクレガー
ゲイル(ペリーの妻で弁護士):ナオミ・ハリス
ディマ(ロシアンマフィアで仲間から命を狙われる):ステラン・スカルスガルド
プリンス(ディマを狙う親玉):グリゴリー・ドブリイギン
ヘクター(MI-6幹部):ダミアン・ルイス
ルーク(ヘクターの部下):カリード・アブダラ
オリー(ヘクターの部下):マーク・スタンリー
ビリー・マトロック(ヘクターのボス):マーク・ゲイティス
オーブリー・ロングリッグ(政府高官):ジェレミー・ノーザム


原作小説を読んでいて、展開も結末も知ってるはずなのに、手に汗握る展開に、絶対ウチでDVD鑑賞してたら早送りしてたってくらい、ドッキドキでした。
赤の他人の英国人夫婦が、汚い稼業で金を稼いできたマフィアのドンとその家族を英国に亡命させようとするのが軸なんだけど、なぜそこまでするのか?っていう理由がね、明確に打ち出してきてないってのが、かえって人間なんてそんなものって気がするんですよ。
「現代の都会に住む知識人」という、ヒューマニティとは縁がなさそうな人間でさえ、ふとした瞬間に血縁も義理もない家族を命を張って助けようとするんだってね。
主演がユアン・マクレガーとステラン・スカルスガルドだってことで、二人が共演してた『天使と悪魔』って映画を思い出したんだけど、その中で通りすがりの一般ピーポーが息も絶え絶えの司祭を助けようとわらわら集まってくるシーンがあるんです。わたし、そこが大好きなんだけど、そんな感覚を味わいました。

ユアン・マクレガーは、それなりに老けたけど、先週観たコリンやジュード・ロウ同様、よい老け方をしてて、わたしは別に彼のファンというわけではないけども、若い頃より今の方が好きですね。『美女と野獣』のルミエールも期待大。
どうしても自国の汚職にまみれた政治家をぶっ潰したいMI-6諜報部員のダミアン・ルイスは、いつもの薄幸感を封印して、なかなかの曲者を好演。彼、ユアンと同い年なんですねー。老け…いや何でもない。
で、チョイ役ではあるものの、出て来た瞬間に「おお!」と叫びたくなるマトロックに、BBC『SHERLOCK』のマイクロフト兄ちゃんが。

小説は「え〜そりゃないわ〜」っていう、言うなればBad Endingでむなしさの残る終わり方をするんだけども、映画はそこからオチが付け加えられていて、MI-6の幹部であるヘクターが追い求めていたブツをゲット!おお、これで裏切り者の政府高官(若干の私怨アリ)を根こそぎ追いつめられる!で終わって、めでたしめでたし。
ただ、そこでヘクターの今までの行動を考えると、ヘリを撃ち落す指示をしたのも、ブツがあるという確証を持っていたのも、彼だよね〜と、一ひねりがあってゾクっとします。
原作の結末も衝撃でしたが、映画のこのオチ、何か後からジワジワ来る。
映画を観ちゃったから原作は読まなくてもいいやー、とは思わずぜひ手に取ってほしい。映画より緊迫感とえげつない描写で読書の秋にふさわしい。

さて、一番のお目当てだったジェレミー・ノーザムですが。
彼、いったいどんな役なんだと思いきや、欲にまみれた政治家だったわー゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ
表面上は洗練された品のいい政治家で、裏では組織を、国を裏切る汚職まみれとか、ジェレミーさんの本領発揮ってとこですかね(笑)。
懐かしの『エマ』以来のユアンとの対決はなかったけど、その代わりダミアン・ルイスとのタイマンシーンがあって、ストーリーそっちのけでコーフンしまくるワタクシであった(笑)。
そうかー。ヘクターがあの口座リストを握ったということは、もうおしまいなのねー。

タイトル「背きし者」って、マフィアから足抜けしようとするディマのことのように見えるけど、実際は裏取引で私腹を肥やすロングリッグ以下国の上層部の人間のこともである。
さらに、チームを組んでたと思わせて、「信義」よりも「復讐」に燃えるヘクターも「背きし者」と言えるのかもしれない…。

編集長、コリン

  • 2016.10.18 Tuesday
  • 09:08
いつの間にかTOHOシネマズのポイントが、2回もタダで観られるほど溜まってました。
今、『高慢と偏見とゾンビ』と『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』が観たいんですけど、『ゾンビ』がどこの映画館もレイトショーで、そんなの観てられっか!
ということで、コリン・ファース主演の『ベストセラー』を鴨居のららぽにて無料鑑賞。

【原題:Geneus】(2016)

主なキャスト
コリン・ファース:マックスウェル・パーキンズ
ジュード・ロウ:トマス・ウルフ
ニコール・キッドマン:アリーン・バーンスタイン
ガイ・ピアース:F・スコット・フィッツジェラルド
ローラ・リニー:ルイーズ・パーキンズ
ドミニク・ウェストアーネスト・ヘミングウェイ

コリンが演じるのは、NYの出版社スクリブナーズ社の名編集者。
ヘミングウェイやフィッツジェラルドという「狂騒の20年代」の大作家とその名作を次々と世に送り出した実在の人物です。
もう一人の主演、ジュード・ロウは、そのマックスに見いだされたトマス・ウルフ。日本ではあまり知られてないけど、米文学史には必ず出てくる試験必須作家(笑)。
ちなみに私の大学時代の米文学史のテキストでは、トマス・ウルフの項が6Pもあります(『総説アメリカ文学史』研究社)。そして今読み直したら、パーキンズの名前もちゃんとあったわ(笑)。
でもウルフは、ヘミングウェイやフィッツジェラルドが成功して大作家になった後に出てきた若手なので、ちょっと二人とは立ち位置が違う。二人はこの頃、ウルフにのめりこんでるマックスに忠告してくれる程の大人でした。
絶好調なウルフと、落ちぶれたフィッツジェラルドの対比が悲しいけど、フィッツジェラルドが調子こいてるウルフにアドバイスしてて、いい人だ〜と心底思った。あ、ちなみに演じてるガイ・ピアースは『英国王のスピーチ』で、「ババババーティ〜♪」とか言って弟をいじめてたエドワード8世でした。

父と息子のようなマックスとトムの友情が芽生え、双方の家族を犠牲にしてまでの文学への傾倒を経て、やがて亀裂が入り、トムの若すぎる死(享年38)で終わりを告げるまでが描かれています。
ラブストーリーでもないし、文芸ロマンでもないし、ストーリー的に大きな山場があるわけでもないんだけど、ただただ文学を生み出すWriterとー、より良い形で読者のもとに届けようとするEditorの執念が伝わります。
ウルフの美文・長文を適切に「刈り取る」編集という作業に焦点が当たれば当たるほど、その「ベストセラー」は作家の力量なのか、編集者の技術なのか。我々が今読んでいる小説は、どっちの「天才」によるものなのか。
映画の中でも、実際コリンが自問自答してたけど、難しいなぁ、その答え。
どんな時も帽子を外さないマックスが、トムの死後、トムからの手紙を読んで帽子を取るシーンが印象的で、客席のあちこちで静かに泣いてましたよ。

コリン目当てで行ったのでジュード・ロウのことなんかすっかり抜けてたんだけど、彼、こういう騒々しいあけっぴろげな感じの役もできるのね〜。天才肌の作家を好演してて、ちょっと意外でした。
コリンは相変わらず渋かっこいい、というかますますステキな老け方をしていて、ますます惚れたわ。
何と言ってもコリンの声、最高!聞いててぞくぞくするわ。

ていうか今気付いたんだけど、映画に出てたアメリカの大作家たちってば、演じてるの全員、英国人じゃねーかYO!

Dancing DJ

  • 2016.08.20 Saturday
  • 12:23
『Dance!Dance!Dance!』(2014、ベルギー)は、今年の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」フォアキャスト部門で上映された短編映画です。
企画と音楽がベルギーの「アーセナル」というバンドのメンバーで、そういう意味ではMVっぽい側面もある(ような気がする)。
2月だったか3月だったか、スカパーで既に放送済みなので、「ご覧になった方、いらっしゃますかー」との質問には結構手を挙げた方がいらしたようです。

落合監督:じゃ、その方たちには出て行ってもらいましょう!←超笑顔

さすが「ドS」とのたまうだけある(笑)。

今回のイベントでは、1時間の作品の25分ver.で上映されました。
つべで予告編を観てたので、何となく概観は掴んでたんだけど、東北の震災の話だったとは知らなかったので、途中から結構キツかったですね。
あらすじをざっくり言っちゃうと、
岩手の缶詰工場で働く音楽好きの青年Furu(ディーン・フジオカ)と食堂の店員(伊藤歩)が出会って、交際していくうちに、妊娠した彼女を置いてなのか、捨てたのかその辺は分からないんだけど、Furuは上京してとあるクラブの人気DJになる。
が、高層マンションの窓の外に津波で死んだはずの彼女が毎晩、夜更けから明け方にかけて、踊るように浮かび上がる…。
引っ越し準備を終えた彼が、クラブでまとわりついてきた女子高生(森川葵)を部屋に入れたその晩も、舞い踊る姿が窓の外に…。
彼は、田舎で作った一本のデモテープを女子高生に渡すとおもむろに窓を開け、空中で彼女と抱き合い、そのまま…
というファンタジー?ホラー?ファンタジーホラー?みたいな、幻想的な映画でした。
あくまでも25分にぶった切ってあるので、結局どうなったのかは1時間版を観ないと分かんないんだけど、とにかく映像と音楽の美しさに酔いしれる一方、ストーリーのやりきれなさに鬱になりかけた。
セリフが極力排され、演じる方も観る方も想像力が要求される映画ですが、クセになるっていうのかな、暗いんだけど引き込まれる、そんな映画。

『ダンス・ダンス・ダンス』といえば村上春樹の小説を思い出すんですが、何かしらの影響は受けてるんだろうか。ちなみに高校生の時に読んだのですが、全く理解できなかった記憶がある…(^^ゞ


横浜の短編映画専門の映画館、ブリリアでいつか上映してくれないものだろうか…。

サヨナラの後に

  • 2016.07.12 Tuesday
  • 20:02
ズドンと一発、はいさようなら。

あれー?そんな話だったっけ?と首がもげるほど傾げた『ロング・グッドバイ』鑑賞。

公開:1974年 監督:ロバート・アルトマン

とにかく探偵、フィリップ・マーロウが最初から最後までタバコ吸いまくりな映画で、煙にも臭いにも嫌悪感のあるわたしは、画面から漂ってきそうな紫煙にヘキエキ(笑)。
こないだ、優作を観たばかりなので、マーロウ役エリオット・グールドの脚の長さや細身な身体が何となく似てるな〜と思ったら、やっぱりインスパイアされてたのね。
並みの映画ならウェイド夫人と寝ちゃうんだろうけど、そこはきっちり女とは一線を引く辺りがカッコイイ。

マーロウの親友テリー・レノックスの妻シルヴィアと、作家のロジャー・ウェイドを殺したのは、ウェイドの妻でテリーの元妻のアイリーンで、事件の元凶はこの女なわけなんだけど、映画だと教唆っぽくはあっても無罪だねえ。
ロジャーは酔った上での自殺だし、シルヴィアを殺したのは、アイリーンと再会して妻が邪魔になったテリーだし。
原作と何年か前のNHKドラマがごっちゃになって、花火だか水上スキーだかの轟音に紛れて拳銃で殺すシーンを楽しみにしてたら、ロジャーがどんどん海に向かって歩いて行っちゃって、おいおいおい…。
マーロウがテリーと再会するのは原作通りですが、まさかそこで拳銃ぶっ放して殺しちゃうとは思わなかったですよ。あーびっくりした。
その後、テリーに会いに行くアイリーンをすれ違うマーロウのシーンは、いかにも往年のハリウッド映画って感じでよかったけどさ。

映画だから尺の都合で仕方ないんだけど、「戦争によって引き裂かれた悲劇」成分がごっそり抜けてたのが残念。その点では、NHKドラマは賛否両論あったようですが、ベースにある部分は原作に忠実だったような気がします。

Er ist wieder da!

  • 2016.07.06 Wednesday
  • 20:47
だってワタクシ、ベルリン帰りですもの、この映画は絶対観なきゃ!
帰ってきたヒトラー

総統閣下がブランデンブルク門やイーストサイドギャラリーに出現してる〜(笑)

いろんな意味でwahnsinnig...
だってこの映画、2015年制作なんだけど、この時まだドイツでは『我が闘争』発禁だったっていうくらい、ヒトラーに関する制限がある国なのに、こんなん作っちゃうんだぜ。
最初の方は「えっとーここ笑っていいの?」とフクザツな気持ちなんだけど、タイムスリップして来たヒトラーがヒトラーのモノマネ芸人として売れっ子になっていく過程で、いろいろと吹き出さずにいられない。
そんでもって、次第に「やだ…このヒトラーカワイイ」とか思っちゃったら、もう末期。この現代(2014年)において、彼の言うことは意外と正しいのかも…と洗脳されてます。
でも、彼の正体に気付いて警鐘を鳴らす人が、一人は認知症、一人は「現代の収容所」である隔離病棟へ送られ、当のヒトラーはネットとテレビと映画を駆使して、支持者を増やすしているラストに、前半笑った分だけゾッとするという…。

映画自体が映画っぽくないというか、ドキュメンタリータッチで、ものすごく生々しいです。
なんというか、ホントに街の人の声を拾ってみました的で、普通の映像番組だと聞き取りやすいように言葉が重ならないように編集したりするものだと思うんだけど、もうそのまんま使ってるので、言いまつがいやかぶりなんか当たり前。ちゃんと目隠しも入れてます。
移民や外国人排斥、極右政党の台頭、貧困と格差、メディアを使った印象操作…ヒトラーが政権を取った前後となんと現代の情勢が似ていることか!

でもところどころしっかり笑えるシーンも入れてるのが、なかなか面白い。
『ヒトラー最後の12日間』という映画を観たことがあればもう噴飯モノの「分かるヤツだけ分かればいい」(@あまちゃん)的な再現シーンがありましてね…↓

これの40min過ぎくらいから、まんま再現。
秀逸なのは、この再現を閣下、あ、いや、ヒトラー自身がやるんじゃなくて、テレビ局でライバルだったかつての局長を蹴落とした副局長がやってることね。それにより、「誰でもヒトラーになりうる」と言われてる感ありありで…。

メルケル首相を「デブのおばさん」呼ばわりするヒトラーも、案外太っていた気がするんだが…。
好感度ageageだったヒトラーが、仔犬を射殺するシーンが流れた途端バッシングって、いかにもドイツだなぁ…。

KLM機内上映

  • 2016.06.10 Friday
  • 18:28
うーん…困った。
観たい映画があんまりない…。つーか、そもそもオランダの航空会社なのでメインはオランダ映画なのだ。密かにこれ↓が観られるのではないかと期待していたんだが…。

ええまぁ、脇でジェレミー・ノーサムが出てるってだけの映画なんですけどね…

さて、いろいろザッピングしてたら見逃した映画を見つけたので観てみることにした…のだが、何だよ、英語字幕かいっ!
そんなわけでイマイチ理解度が足りてたかどうか確信は持てないのですが、面白かったことは確かです。

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

監督:ビル・コンドン
主なキャスト
イアン・マッケラン:シャーロック・ホームズ
ローラ・リニー:マンロー夫人
マイロ・パーカー:ロジャー
真田広之:ミスター・ウメザキ
ハティ・モラハン:アン・ケルモット
2015年(104分)


ホームズったって、今をときめくバッチさんじゃありませんよ。
ガンダルフだよ!ガンダルフ!(@LotR)
なんとシャーロック・ホームズが御年93歳で第二次世界大戦後の田舎で隠遁生活を送っております!あれ?養蜂に精を出すのはポワロじゃなかったっけか?とかいうのは置いといて。

悲しいことに、彼、ホームズ先生ももうお年。いろいろ記憶障害を抱えております。早い話がボケ老(自粛)。記憶力保持に聴くとかいう理由でロイヤルゼリーを作ったり、日本に苔を探しに行ったり、93にしては結構精力的。
ここでかつて父親がロンドンで外交官をしており、ホームズの世話になったというウメザキという男がホームズを出迎えるわけですが、これが真田さん。
何か…『ラストサムライ』の謙さんがその後どんどんハリウッドだブロードウェイだとアメリカ方面に進出しているのと比べて、真田さんてばUKの文芸ちっくな映画に染まりつつあるねぇ…。

って、それはいいんだが、原爆投下直後の広島に93歳を呼んでいいのか?つーか、どう見ても日本じゃなくて東南アジアの風景なのはいかがなものか。
で、ホームズ氏、ここでも記憶が飛んでて、ウメザキ氏の父親が自分と母親を捨ててロンドンに行きっぱなしで死んだのはあなたのせいなんだよ、Mr.ホームズって言われてもちんぷんかんぷん。
まぁ、この謎は後半、嘘のように記憶が戻ったホームズがちゃんと思い出すんだけど、この映画のメインはもうちょっと若かった頃(と言っても60代)、解決できなかった事件の真相が何だったのかを思い出すことなんである。

あー何このカズオ・イシグロ的カオス!

とにかく時系列がぐっちゃぐちゃで整理するのが大変。
古い順に仝鼎良きヴィクトリア時代の未解決事件(アン・ケルモット、ワトソン)
大戦中のロンドン(ウメザキ氏の父親、マイクロフト)
B萋鷦‖臉鏝紊離劵蹈轡沺淵Ε瓮競氏とその母親)
さ国後、家政婦の息子ロジャーとの交流←今ココ
これが行ったり来たりする104分て結構辛いですよー。

ロジャー役の少年が、イギリス映画に出てくる賢い少年の典型のような子(子役時代のクリスチャン・ベールみたいな感じ)で、いっくらでも出てくるんだなぁと感心したわ(笑)。
イアン・マッケラン様は、同じじじいでも60代と90代を使い分けてるのがもうさすがですね。
真田さんの英語、綺麗だったなぁ…。ビシッと決めたスーツがお似合いです。『上海の伯爵夫人』思い出しちゃったよ。
ホームズが思い出せなかった謎自体は大したものではなかったような気がするんだが、老人等少年のふれあいはノスタルジックで美しゅうございました。

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