Love or Death

  • 2016.10.30 Sunday
  • 18:55
ハロウィンで賑わう渋谷にわざわざ行ってきました。
魔女の仮装しに行ったのではなく、魔女裁判の芝居を観るためです。


るつぼ
作:アーサー・ミラー
演出:ジョナサン・マンビィ
翻訳:広田敦郎
美術・衣装:マイク・ブリットン
主なキャスト
ジョン・プロクター(農夫):堤真一
エリザベス・プロクター(ジョンの妻で病弱):松雪泰子
アビゲイル・ウィリアムズ(パリス牧師の姪で、プロクター家の元使用人):黒木華
ジョン・ヘイル牧師:溝端淳平
アン・パトナム:秋本奈緒美
パリス牧師:大鷹明良
レベッカ・ナース:立石涼子
ダンフォース副総督:小野武彦
メアリー・ウォレン:岸井ゆきの

10/7(金)〜10/30(日) Bunkamuraシアターコクーン
一幕 13:00〜14:35
二幕 14:50〜16:15


ちなみに本日この回、千秋楽。
わたし、コクーン二階のサイドの席だったんだけど、その後ろで立ち見の人も結構いました。

アーサー・ミラーの『るつぼ』といえばコレ↓

もうダニエル・デイ・ルイスが超絶かっこよくってさぁ…って、そういうジャンルじゃなくて、ホントに観るのが苦行な映画。
舞台もなかなかに苦行でした。一幕終わって酸欠っぽくなってたし。
事の発端はアビゲイルの復讐なんだけど、そもそも遊びで終わらせたプロクターが悪いし、プロクターをそういう風にさせたのは私、とか妻のエリザベスは言っちゃうし。
エリザベスがそんなに自分を責めることはないよって「現代の倫理」的には言いたくなるけど、あの頑ななまでに亭主の言い分をスルーする辺りは、ちょっとぞっとしないでもない。
じゃ、誰が悪いのよ?って話だけど、なんかもう結局はそういう風になってしまった、時代と社会が悪いのよみたいな『頭痛肩凝り樋口一葉』を思い出しました。
まぁ、なんだかんだ言ってもやっぱりプロクターは許せんが。
デイ・ルイスはクールで理知的でカッコよすぎるんで、一夜の戯れでアビーによろめくような男に見えないが、その点堤真一は「さもありなん」な雰囲気バリバリでした。勿論、芝居としての話ですよ!
「十戒」の「汝、姦淫するなかれ」が失語症のように言えなくなるプロクター。もう観客はここで(ノ∀`)アチャー。如何にも戯曲的な展開ですが、分かりやすく提示してくれてて良い良い。

プロクターに捨てられた美少女アビーとしてはイマイチピンと来ないけど(何せ比較対象が絶頂期のウィノナ・ライダーなのでw)、トランス状態に入ったり、プロクターを脅したり、瞬時に二枚舌を使い分ける魔性の女の黒木華ちゃんは絶品でした。
彼女の言い分ってハロウィン風に言うと「愛してくれなきゃ、死刑にするゾ」だよね。

そんなわけで一幕は冷静に観てたんだけど、二幕でプロクターが何もかもぶっちゃけて、一度は仲間を裏切ってまっとうな道に進もうとしたメアリー・ウォレン(=『真田丸』のおたかちゃん)が、アビーの煽動でトランス状態になってる少女たちに糾弾されて、「転ぶ」ところなど、演者の迫力とこちらの感情の揺れのせめぎ合いがすごくて、手に汗握ってました。
メアリーが何を言っても、アビーたちは意思を持たない木霊のようにその言葉を繰り返すだけ。
真実を追求するはずのダンフォース副総督は、都合のいいように誘導するのみ。
自分の心の拠り所だった信仰が揺るがされ、安心と安定の大多数の側へ着くメアリー…。
正しい議論や討論とはまるで違う、狡猾な言葉狩りにいじめの世界を見た。

そして投獄されたプロクターが妻と対峙する場面。
ここでようやく和解というか愛情が示される夫婦の場面がすごく良くて。正直、松雪さんがこんなに理知的で信仰深くてでも愛情もある役を演じきれるとは思ってなくて、心の中で土下座してました。
「どうしても生き延びたい」プロクターが嘘の告白に署名をして、これで救われたとならないのがこの戯曲の重要なところで、やっぱり「名前を売ることはできない」「自分の中の善きものを奪われたくない」と絞首刑になる道を選ぶのですが、そこに至るまでずっと涙があふれてました。
まさか『るつぼ』で泣くとは思ってなくて、自分でビックリなんだけど、やっぱり生と死の狭間で揺れ、あがく役どころは堤真一の真骨頂なのかなぁ。以前TV放映で観た『写楽』もそんな感じだったし。
後、心から善良な本当の聖女たるレベッカ・ナースの素朴なセリフと演技が素晴らしい。
「見てないことを見たと言ったらそれはウソになる」って当たり前のことなのに、それができない人間の弱さが本当に歯がゆくて←多分ここで最大に泣いてた

ほんっとうに重くて辛くてしんどい舞台だったけど、それでもやっぱり観たことに後悔はしない。観てよかったと思える良い舞台でした。


さて、魔女裁判のセイラムから抜け出た渋谷では…



DJポリスを初めて見た。
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ブラック・アイルランド

  • 2016.04.07 Thursday
  • 23:50
仕事帰りに世田谷パブリックシアターで『イニシュマン島のビリー』を観て来た。


行こうかどうしようかずーっと迷ってたんだけど、イニシュマン島の隣りのイニシュモア島にまで行った身としては、やはり観に行くべきかと(笑)。
お察しの通り、イニシュモアに渡った日は大雨(ていうか嵐)で、フェリーが揺れて揺れて、そらもう天地がひっくり返るとはこういうものかと思い知った船旅でした。
わたし、四国に四年いた間に何度となくフェリーとか高速艇に乗ってたんで、船旅は慣れてると思ってたんですが、今思えばもう船酔いに近かった。もう少しで〇〇するとこだった…。

原題:"The Cripple of Inishmaan"
作:マーティン・マクドナー
翻訳:目黒条
演出:森新太郎(2014年読売演劇大賞/最優秀演出家賞W受賞)

キャスト
びっこのビリー:古川雄輝
ヘレン(口も悪けりゃ性格も悪い美少女):鈴木杏
バートリー(ヘレンの弟の薄らばか):柄本時生
ケイト(ビリーの伯母、時々石に話しかける):峯村リエ
アイリーン(伯母その2、キャンディーが好き):平田敦子
ジョニー・パティーン・マイク(村の情報屋):山西惇
マミー(ジョニーの飲んだくれの母):江波杏子
マクシャーリー(医者。村で唯一まとも):藤木孝
バビー・ボビー(漁師):小林正寛


ふーん。2013年にダニエル・ラドクリフが「びっこのビリー」を演じて評判になったんだー。
なんか想像つくな〜。素朴そうに見えて実は腹ん中で何考えてるか分かんなくて、愛情に飢えてるようでめっちゃシビアなビリーを演じるラドクリフが。
二幕でね、それまで普通に迫真の演技を見せてたビリーなのに、なんか白々しいというか嘘くさい芝居をするシーンがあるんですが、そらそうだ「芝居の芝居」なんだもの…っていうとことか、ヘタな役者にはできないもんね。
古川君も、同情を買いそうな哀れなビリーでありつつ、野心満々でだまくらかしたってへーきなとこを上手く演じてたように思います。
元々、同じ「杏」なら、謙さんの娘より鈴木杏ちゃんの演技の方が好きなんですが、いやぁ、すごい迫力だった。舞台向きのいい声してんなぁ。ものすごい罵詈雑言の嵐なのに、ビリーにキスするとことか超カワイイ。
あと、アホすぎるアホ演技をさせたら柄本弟はピカイチ!←褒めている

とにかく、内容がブラックすぎて、終演後へたりこんじゃいます。さすが英国の劇作家。
ちなみに、今年のローレンス・オリヴィエ賞を受賞したらしいっすよ↓
マーティン・マクドナーの新作が最優秀プレイ賞を受賞 2016年ローレンス・オリヴィエ賞が決定

あんな人のよさそうな伯母さんsなのになんという腹黒策士っぷり…。あれは要するにビリーが受け取るはずの保険金をがっぽり取っちゃったってことでFA?
そして、最初から最後までうるせー奴だなと思ってたジョニーは天使かっ!
でもアル中の母親(江波さん、さすがの大迫力!)との毒舌合戦はすさまじい勢いで、どっちもひるまないとこが恐ろしいまでに親子(笑)。

嘘をついて合衆国に渡って、でも夢破れて帰ってきて、ずっと願ってた望みがかなえられそうになった瞬間、嘘がホントになって、希望が打ち砕かれる…。

なんだ、この救いようのない閉塞感!

1930年代のアイルランド自体が、閉ざされた逃げ場のない社会なのに、それに輪をかけて出て行きようがないアラン諸島の中くらいの島(=イニシュマン)が舞台ですからね!当然と言えば当然。
それなのに、人々は「アメリカ人が、フランス人が、ドイツ人が来たり、興味を持つくらいなんだから、アイルランドは魅力的」とウソかホントか分からねど、声をそろえて言い続ける。

うーわー!気がおかしくなりそうだーっ!

翻訳劇にありがちな硬い会話じゃなくて、耳に分かりやすい良い訳でした。
特に相手の言うことをいちいち繰り返す不毛な会話が、ビミョーに語末を変えてたりして日本語として聴いてて自然だったように思った。

思い切って観に行って良かったですよ。

アイルランド\(^o^)/

地獄良いとこ一度はおいで

  • 2016.02.20 Saturday
  • 23:10
さて、わたしが大阪に来たそもそもの理由がこれだ↓
『桂米朝追善芝居 地獄八景亡者戯』@大阪松竹座




なんばを歩いてて突然出てくるこのクラシックな建物、劇場だったのね←今回初めて知ったw
趣旨といい、演目といい、出演者といいまず東京じゃやらんだろ!
…と早々に見切りをつけて、発売当日に一等席をゲットー!←気合入りまくり
前から五列目の花道の隣りだぜ!←どんだけ〜
本日の主なキャスト
泥丹坊堅丸(売れない噺家):桂 ざこば
山井養仙(やぶ医者):江口直彌(松竹新喜劇)
法螺尾福海(山伏):桂 団朝
名古屋山佐(出雲阿国の用心棒兼ダンサー):ISSA(DA PUMP)
芸者小糸:三倉茉奈
出雲阿国:桜花昇ぼる(元OSK)
若旦那作次郎:長江健次
堅丸の娘お玉:関口まい
堅丸の女房お松:三林京子
閻魔大王:桂 文乃助

ゲスト:澤田隆治

あ、ほんとに「主な」キャストだけです。他にも三つ以上の役を掛け持ちして舞台に出てはる米朝一門の噺家さんがようけいてはるんやで。
若旦那のお弟子さんの團治郎くんや米輝くんは閻魔の庁の役人の役で左右に並んでたり、吉朝門下のあさ吉さんや佐ん吉さんが結構目立つ役で出てたり、いろいろ見つけるのも面白かった。
え?若旦那?
そーれーがー!!
あの人、今茂山一家とオペラ狂言やっててさぁ、そっちにかかりっきりで声(とお面)だけの出演なのよ。ま、いいけどさ。

ストーリーは「地獄八景」をベースに、「たちぎれ線香」「はてなの茶碗」「けんげしゃ茶屋」「花筏」「高津の富」なんかの登場人物やネタをちりばめてあって、そらもう上方落語好きならすぐわかります。
一見関係ないようなダンスシーンも、出雲阿国一座の皆さんはOSK(大阪松竹歌劇団)関係の方々で、実は米朝夫人がOGという縁で、納得のご出演。
ちなみにISSAはざこびっちのお友達だそうですよ(笑)。
もー久しぶりに見て懐かしいったらありゃしない←妹が昔DA PUMPのファンでさぁ…

主役のざこびっちは、もう絶対台詞覚えてないやろ!ってツッコみたくなるくらい、フリーダム。でもそこがいいんだよねぇ。ざこびっちの米朝師匠への愛があふれる筋書きだから、言葉尻なんかきにしたらあかん。意図するセリフが、彼の言葉で話されるのであれば、アドリブだろうとその場限りであろうとどうでもよろしいのや。
「末期哀れは覚悟の前」
「良い噺家になる前に、よい人間になりなさい」
もうそのまま日めくりカレンダーにしたくなるほど素敵な言葉を残しはったんだなぁとグッときますわ。

日替わりで米朝師匠にゆかりのある方々が閻魔の庁に来訪されるんですが、この日のゲストは大阪の芸人が足を向けて寝られないという関西放送界のお偉方で、この方が言わはるには「世間では米朝師匠は学者肌やと言われてるが、実際のところ、人と人を結びつけ、地盤を作りはった方です」と。
米朝師匠がいたからこそ、違う一門、個性の強い師匠方が集まって、上方落語、ひいては上方芸能が盛り上がったんだと。
これって、ものすごく地味なことだったんだろうけど、いかにも米朝師匠らしいなぁって感動しちゃったよ。


いやほんまに、わざわざ来た甲斐がありました。

二人の女王

  • 2015.06.28 Sunday
  • 22:04
先週の日曜日、録画したNHKの『ザ・プレミアム 天海祐希 魔法と妃と女たち』のスコットランド編を観た
→ホリールード宮殿やエディンバラ城が出てきて、懐かしくって超萌えた
→そこで暮らしてたスコットランド女王、メアリー・ステュアートの話が予想外に面白かった
→そういえば、今渋谷で『メアリー・ステュアート』やってんじゃん!
→某お得サイトでたまたま6月28日の公演分だけ、手数料なしで安く買えることが判明
→締切4時間前だったので慌てて購入し、すぐさまファミマに発券しに走った
→本日、観劇決定(←今ここ)

そんなわけで、半年ぶりのパルコだお!


フリードリッヒ・シラー作『メアリー・ステュアート』の自由な翻案
作:ダーチャ・マライーニ(訳:望月紀子)
演出:マックス・ウェブスター
出演:
メアリー・ステュアート/ナニー(エリザベスの侍女)/レティス・ノールズ(ダドリーの妻):中谷美紀
エリザベス・テューダー/ケネディ(メアリーの乳母):神野三鈴
リュート演奏:久野幹史/笠原雅仁

なんと、「1990年に宮本亜門演出」で「麻実れい×白石加代子で上演」の過去があったとわ!それ、すげー観たかった。
二人芝居は初めてではないけど、今回珍しいなーと思ったのは、二人の女優がそれぞれ女王を演じるわけですが、それだけではなくて、それぞれ自分じゃない女王のお付きの人の役でもあることです。
でも、中谷さんの役はどれも「愛に殉じた人」で、神野さんの役は「男より忠勤に励んだ人」という共通点はある。
暗転で役が入れ替わるとか、幕ごとに違うとか、そんな悠長な切り替えはなく、ある遣り取りが終わり、女優たちが背中を向けたり、舞台脇へ移動したその瞬間、二人の立ち位置が切り替わるという、役者も大変だが、観てる我々もハードな芝居。
しかし、そこは実力派の二人。声色や姿勢の違いで瞬時に別人になり替わる。うーん…役者って怖い。
ちなみに舞台上には簡素な机や椅子のみで、背後が鏡になってるので、客席の前二列くらいまではばっちり反射して見えてます。裁判シーンなど、その二列に照明が当たって、まるで陪審員のよう。
あと、役者が後ろを向いている時の表情も鏡で十分見えるので、客には嬉しい装置だけど、役者は気が抜けないですね。
舞台脇にリュート奏者が控えていて、BGMを奏でてくれてます。いかにもシェイクスピア〜って感じで気分が盛り上がることこの上なし。

イタリアのフェミニストが翻案しただけあって、男に振り回されて生きていたメアリー、男を利用して生きてきたエリザベスの女のとしての苦悩がひしひしと伝わる。
どっちも哀しい女ですが、「学問も教養も芸術も教え込まされて、望まれて王位についたと思ったら、ご結婚はいつですかー?お世継ぎを早く!とか、うるさいんじゃゴルァ!!誰がアホな男の意のままになるかい、ボケ!」(←意訳)なエリザベスの叫びには、思いっきり共感した。ていうか、絶対現代社会をあてこすってるよね。
何しろイングランドの女王陛下は手紙ひとつ書くのにも、相手、内容、タイミングに合った文章でなければ、容易に書き上げないほど慎重で聡明なお方。
と言いつつも、エリザベスの心には寵臣ロバード・ダドリーへの複雑な愛情があって、まぁ、そこら辺は映画『エリザベス』を見てくださいって感じで簡略化されてますけど、要するに「好きなんだけど、イケメンなんだけど、一国を任せるにはおバカすぎなのよね、こいつ…」で、結婚には至らなかったことにちょっとは未練があるわけで。
一方のメアリーは、あんまり夫運はないものの、好きになったら一直線、政治的配慮?何それおいしいの?と、突っ走る。その脇と詰めの甘さが命取りになって、幽閉されてしまったんだけど。
理想は両者のいいとこどりなんだろうけど、そんなおいしい話はこの現代だってそうそう簡単に手に入らない。権力握って、女とっかえひっかえのヘンリー八世はよくて、アタシたちは何でダメなのよ!という二人の怒りが爆発するのが、後半の「ダドリーを豚呼ばわりして、溜飲を下げるロックコンサートシーン(仮称)」。
いやぁ、このマイク片手にロッカー顔負けに歌い煽る二人を観るだけでも、この舞台のチケットを取る価値はあるわ(笑)。
それまで固唾をのんで二人の女王のやり取りを見守って来た観客も、もう笑うしかない。でも笑っていいのかちょっと判断付かずに戸惑ってるのが(自分を含め)伝わる微妙な空気感(笑)。

神野さんは高畑淳子主演の『欲望という名の電車』で妹ステラを演じてたのを観たことあるんだけど、まず声がいい←出たな、声フェチw
そして安定と安心の演技がこの作品の屋台骨になってるという印象。
中谷美紀は、別にファンでもアンチでもなく、まぁしいて言えばTVドラマより映画、映画より舞台で観たい女優ってイメージしか持ってなかったんだけど、やっぱりこの人、舞台向きですね。去年の大河ドラマでさえ、芝居が舞台っぽいって感じしてたもん。

パンフレットは¥1,800と少々お高い上、ものすごく立派なハードカバー装丁で、買うのやめようかなと思ってたんですが、英国ルネサンス期の歴史や、参考DVDの紹介(もちろんあったぞ、“The Tudors”)、そして二人の女優のインタビューなど、結構中身が濃いので、損はない。
ていうか、英国史に疎いとさっぱり分かんない芝居なので、開演前に予習するか、終わってから復習するのにもってこいです(笑)。

それでも僕はやってない

  • 2015.04.25 Saturday
  • 21:33
とかいう映画があったけど、テーマはそれだ!な芝居を観に、新国立劇場へ←本日のメインイベント
ウィンズロウ・ボーイ
20世紀英国を代表する劇作家テレンス・ラティガンが、実際の事件にヒントを得て書いた4幕劇『ウィンズロウ・ボーイ』。
本作は、ロンドンの中流家庭を舞台に、窃盗を働いた罪で海軍士官学校を退学になった息子の無実を信じ、その名誉を回復させようと闘うことを決心した家族の姿を通して、"正義"とはなにかを問いかけます。重くシリアスなテーマを扱いながらもウィットとユーモアに富んだ会話劇として、1946年初演時1年を超えるロングランを記録。48年には映画化もされ、それまで喜劇作家として売れていたラティガンの名声を更に高めた作品です。

去年、新国立の「2014/2015シーズン」演目が発表になった時に、ひそかにコーフンしたものです。
なぜならば!わたしがロンドンまで舞台を観に追っかけたジェレミー・ノーサム出演映画の原作戯曲だから(←サー・ロバート・モートン役)。

↑もちろん、持ってるw
これねー、昔、深夜の民放で放送してたんだけど、DVDは日本では未発売なんだよねー。
今回の舞台をきっかけに放送してくれるかなーなんて淡い期待もあったんだけどな…。
ちなみに、この99年版映画の監督はDavid Mametで、その縁でウィンズロウ家の長女役に自分の妻をキャスティングしてます。

さて、本日の舞台。
作:テレンス・ラティガン
翻訳:小川 絵梨子
演出:鈴木裕美
主なキャスト
アーサー(父):小林 隆
グレイス(母):竹下景子
サー・ロバート・モートン(弁護士):中村まこと
キャサリン(長女):森川由樹
ディッキー(長男):山本悠生
ロニー(次男):近藤礼貴/渋谷龍生(Wキャスト)
ヴァイオレット(メイド):渡辺樹里
ジョン(キャサリンの婚約者):川口高志
デズモンド(ウィンズロウ家の事務弁護士):チョウ ヨンホ
おお!舞台セットが英国中産階級のステキな客間だ!

開幕前からジャズが流れていい雰囲気。

映画を観て思ったのは、法廷シーンがまったくないことと、常に攻めの姿勢でいるサー・ロバートの動向より、裁判沙汰に持ち込んだウィンズロウ家(特に父と娘)の静かな言動に重きを置いているなということ。
ジェレミー・ノーサム目当てで観ていたので、ラスト近くの結審に至る法廷での感動の過程がメイドの語りを通してのみの描写に物足りなさを感じていました。
でも、今日の舞台を観たら長年の疑問が解消されたというか!
そりゃ、主軸はウィンズロウ家の人々だもの。サー・ロバートの演説にどれだけ感動しようとそんなのはどうでもいい。要は多大な犠牲を払ってようやく報われたウィンズロウ家の勝利がすべて。
でもねー、「らしくない」ぐったりした姿を(我々視聴者に)さらしたすぐ後で、キャサリンが入ってくるや否や元の自分を取り戻してシャキッとするサー・ロバートの姿には、グッときますよ。映画だと、なんかこの二人、絶対結ばれないんだけど、既に惹かれ合ってるじゃん!っていうのが分かる粋なシーンがラストにあって、それをまたサー・ロバートが(というよりジェレミーさんが)、表情変えずにシラっと言うのが萌えるのよ。

今日の舞台のサー・ロバートはめっちゃいい声!ロニーが本当に無実かどうかを探るための畳み掛けるような詰問シーンなど、低音ヴォイスに惚れ惚れ。あ、ちなみに演じた中村さんは『ちゅらさん』の牛柄パジャマの入院患者だったそうですよ←何となく覚えている
とにかく一家の要、アーサー・ウィンズロウ役の源さん@新選組!がステキです!
一見厳格な威張り散らしている父親に見えるんだけど、三人の子をどの子も慈しみ、愛する優しいお父様。セリフと動作の一つ一つに温かさがあるというか…泣かせるし〜。
小林さんていうと、なんか小市民的なおどおどした頼りないイメージなんだけど、別人のように威厳たっぷりな英国紳士でした。さすが役者じゃのう…。
竹下さんはいつも通りの竹下さん。ウィンズロウ家の長男は確実に母親のDNAを受け継いだなと一目で分かる雰囲気。
個人の小さな正義が守られない国に、国家の大正義を語る資格はない!たとえ、それが第二次世界大戦前の緊急事態であっても…。14歳の海軍士官候補生の汚名を晴らすのが目的じゃないところがこの芝居の奥深さ。


翻訳劇なのにセリフがとってもこなれていて、あんだけシリアスな法廷劇(法廷は一切出てこないけど。場面は客間だけなんだけど)なのに、セリフだけで笑えるようになってて、巧い訳だなぁと感心してたら、『OPUS』の演出家でした。あの時も翻訳を手掛けてて、あれはわたしも原作を読んでいたこともあって、やっぱり訳で感心してたんだったわ。
長女と次男にもう少し声量と滑舌がほしかったところ。特にロニーは、サー・ロバートとのシーンで頑張れ、超がんばれ!…って言っても明日で千秋楽ですが。

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飲んだくれたちのメリークリスマス!

  • 2014.12.21 Sunday
  • 19:39
今年最後の観劇は、パルコ劇場での『海をゆく者』(“The SEAFARER”)となりました。

お恥ずかしい話、このチケットを取った理由はアイルランドの劇作家、ジョン・ミリントン・シングの戯曲と勘違いしたからです。そっちは『海に騎り行く人々』(“Riders to the Sea”)だった…ほんま、アホやで。
作:コナー・マクファーソン
訳:小田島恒志
演出:栗山民也
出演
小日向文世:ミスター・ロックハート
吉田鋼太郎:リチャード・ハーキン
浅野和之:アイヴァン・カリー
大谷亮介:ニッキー・ギブリン
平田 満:ジェームズ・“シャーキー”・ハーキン

見よ!この実力派の熟年実力派俳優揃い踏み!
いやぁ、渋いおっさんの男祭り、たまらんですなぁ(←おっさん、言うな!)
こんな渋いキャストだから、てっきりチケットが余裕で残ってると思ったら、Sold Outなんだとか。2009年の再演だもんね、皆、分かってるぅ〜。

てゆーか、平田さん、第49回紀伊國屋演劇賞受賞おめでとうございます!


で、全然予備知識なしに観に行ってしまったんだが、予想に反してぐいぐいのめりこんで観てしまった。一幕終わった瞬間、ふーっと力が抜けたほど、力入れて観てたっぽい(←超疲れたw)
場所はダブリン近郊(ホースの辺りかと思われ)、時はクリスマスイヴからクリスマスの朝にかけて。
陽気に酔っぱらう盲目の兄、リチャードと、彼の世話をするために帰郷した弟のシャーキーが暮らしている。友だちのアイヴァンとともにクリスマスの買い出しに出かけたその晩、シャーキーの昔の女、アイリーンの今カレ、ニッキーが、ロックハートという紳士を連れて訪れる。夜通し、カードをするために…。

コヒさんと大谷さんが登場するまでの長ーい一幕の大半を、伝様吉田さんが緩急自在に舞台をリード。駄々っ子のように弟にあれしろこれしろと指図しまくりで、すっかりシャーキーに肩入れしてしまう。しかし、どんだけ酒飲む気だよ。
リチャード:俺は!アイリッシュコーヒーが飲みたいんだ!
シャーキー:コーヒー、切れてるって言っただろうが!
リチャード:じゃ、アイリッシュだけでいい
それ、ただのアイリッシュ・ウィスキーじゃねーかYO!

他にも、アイリッシュブレックファストが食いたい!とか、ダブリンの繁華街の通り名てんこ盛りだとか、そらアイルランドスキーにはたまらん芝居ですわ。

しかし、すごいぞ、吉田鋼太郎。あれだけの意味のないセリフを噛まずに、淀みなくまるで歌うように自然に伝える力量。しかも素面の時の発声が超美声。さすがシェイクスピア役者。
デスノート』が楽しみ!


って、気が早いですね。
二幕は、酔っぱらいの飲んだくれ男が5人そろってカードに興じる場面が続く中、シャーキーとMr.ロックハート(←もう名前からして意味深)の意外な過去が明かされる。
まぁ、早い話がMr.ロックハートは人間じゃないわけで…(『デスノ』でいうところの吉田さんの役だな)。コヒさんの終始冷静なんだけど、下半身だけ千鳥足って演技にも笑えます。
最後の大勝負にシャーキーが負けたら命をカタに…というのが、彼がここへ来た狙い。
そして勝負の行方は意外な方向へ…。

シャーキーの暗い過去、そして酔うと一変してしまう性格故のこれまでの人生。一幕でずーっと抑え目だった分、二幕の平田さんの激変っぷりが大迫力です(←声がいいだけに激昂しても聞き惚れる)。
勝負が済んでいよいよ…というギリギリのところで、前日から「メガネがないない」と探していたアイヴァンが逆転の場外ホームラン。観客一同、大笑い。
恋敵のニッキーが意外と面倒見が良かったり、うざいとしか思えなかった兄貴の優しさだったり、誰も豹変したわけじゃないのに、見方が変わるとすべてが反転して見える。今まで気がつかなかったことが見えてきたシャーキーが朝日に照らされて幕。
派手な場面展開や仕掛け、劇的なストーリーはなく、俳優たちの技量にかかってるだけのシンプルな舞台ですが、いい意味で裏切られたというか、温かい気持ちのまま劇場を後にできる、良質な芝居でした。
どいつもこいつも飲んだくれのどーしよーもない奴らの繰り広げる素敵なクリスマスに乾杯!


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恐ろしい子…!(白目)

  • 2014.08.23 Saturday
  • 23:59
新横浜界隈では、昨日からでっかい荷物を抱えた人がスケートリンクへ出没する恒例のシーズンです(←「Friends on Ice」)。
が、ここ数年行ってたワタクシは、五輪の余波なのか、チケットが全く入手できず今年は不参加。シェーちゃんの「River Dance」観たかったよー!

そんなわけで、代わりに割引サイトで手に入れたのが『ガラスの仮面』(青山劇場)になります。

演出:G2(←元MOTHERの座付き作家)
主なキャスト
北島マヤ:貫地谷しほり
姫川亜弓:マイコ
桜小路優:浜中文一
速水真澄:小西遼生
水城冴子:東風万智子(旧芸名:真中瞳)
月影千草:一路真輝
速水英介(の声):西岡徳馬


とりあえず、これだけは言わせて。
貫地谷しほり、恐ろしい子…!


あの年代の女優の中じゃ、群を抜いて上手いよね。いやその実力の程は、数々のTVドラマで既に知ってたけど、舞台での彼女はホント水を得た魚のよう。なんつっても声がいいです!←声フェチ
正直、観る前はアラサーが十代の北島マヤ役ですかー?と若干不安な点もありましたが、そこは舞台マジックと言う奴で。てゆーか、月影先生と亜弓さんに挟まれてカテコに応えている姿は、まさに「捕らえられた地球人」の如く、正真正銘「おチビちゃん」。脇の二人がスタイル抜群だしな…
髪型が安達祐実版のマヤと同じだったのもどこか懐かしさを感じさせてくれるというか、幼さを見せてくれたというか。なにより、安達祐実より顔立ちが地味なのもマヤっぽくていいんだよね(←失礼すぎ)。
あと劣等感と自信の無さからくる卑屈な芝居をさせたら、彼女の右に出る女優はいないです←参考例:和田B子@ちりとてちん
それと、この舞台、テンポがすごく早くて、次から次へエピソードがてんこ盛り。超特急で進むので、役者も切り替え大変だろうなと思うんですが(もちろん、観てる側も大変)、劇中劇とマヤの芝居とちゃんと声の出し方を変えてきて、場面の切り替えがすっと頭に入るように演じてくれてる。
そら、渡瀬恒彦師匠も「ライバル」というわけですわ。

あと1週間やってるんで、都合がつく方は是非観てください←当日券、あります

えーと、舞台は思い切りよく原作の途中から途中まで(笑)。あ、でも原作全然知らない人が観ても大丈夫なように作ってあるのは、さすがG2かと。
いきなり、マヤが芸能界追放→失踪で幕開けです。マヤを除く主要人物が「いったいどこへ」「なぜ?」と言いながら、それまでのあらすじをざっくり説明してくれます。
そして、
・大都芸能に所属
・大河ドラマ出演←上からドリフ並に水バッシャー。貫地谷さんは「Ice Bucket Challenge」はもうやらなくていいと思う。あと、青春スター里見茂の出番はなし。
・乙部のりえ出現←内田慈さんという女優さんが演じてるんですが、なんというか独特な面白さがあって受けました、いろいろと。ちなみにこのキャラ、結構好きだ。
・母の死←大都芸能の社長はホントに償っても償いきれないことしたよね!
・芸能界追放
・亜弓さんの復讐←指で触れたらバラがなぎ倒し!乙部のりえの「なんっって長い間なのっ!」にはワロタ
・失踪
まであっという間に駆け抜けて、冒頭に戻る。一幕ラストは「おらぁトキだ!」
なんというか、もう少しじっくり心情を追いかけたい気もするんだけど、そんなことを思ってしまうのは今だからであって、観てる最中は「うわーうわーうわー」と漫画の再現のハンパなさに振り回されてるだけです。
やはり、春さんの我が子会いたさに脱走するくだりと、この辺りの速水若社長の極悪非道っぷりの対比が素晴らしく昭和の少女漫画チックで好きです(笑)。なんであんなに腑抜けになっちまっただ、真澄さま!
マヤがようやく会えたお母さん(でも遺体)に話しかけるシーンは、それこそマンガじゃないけど「ぞくっ」と鳥肌立ちました。あそこは貫地谷さんの泣かせの演技が神がかってた。
あと泥饅頭食って本能に目覚めるとこで、幕→客電て頼むからやめて。涙の跡が隠せなくて困るわ、ホント。ちなみに『ちりとてちん』の遠藤Pも泣いたそうです(ソースはK友さんのTwitter)。

二幕は、
・「女海賊ビアンカ」←さらっと
・「ふたりの王女」オーディション←他のオーディション参加者がいちいち「うっ!」「何なのこの子っ!」とリアクションと解説をしてくれるので、笑わずにはいられない。
・「ふたりの王女」←終盤の牢獄のシーンからラストの部分。亜弓さんの悲痛なオリゲルドに涙。
・紫のバラの人の正体がマヤにバレる←にも気づかず、紫織さんと婚約する真澄さまのバカ!
・紅天女の里へLet's go!
原作との乖離は、「忘れられた荒野」のくだりを「ふたりの王女」に組み込んだとこ。
おかげで桜小路君も「ふたりの王女」に出演(ユリジェス役)、台風の影響で初日の客は速水さんだけ、アルディスがオリゲルドに差し出したマフラーの色が2日目から変更と、エピソードの入れ替えがここだけ激しい。
よく考えたら、小劇場でのマイナープロダクションによる「忘れられた荒野」なら台風で客が来ないのは分かるんだけど、「ふたりの王女」規模の舞台じゃ、いくら台風でも劇場側がやるって言ってんなら、フツーに客入るよな…。
あと、稽古途中で月影先生が危篤になって、皇太后さまの役降りちゃったよ…。
意識飛んでる間、若かりし頃の千草の回想が始まり、うん、さすがにこれは野際陽子じゃ無理だわと思いました(笑)。一路さんはどうにかすると、あの髪型のおかげでトート閣下に見えなくもなかっけど、かっこよかったわ。もういっそのこと、速水真澄役でもいいくらいだ(をい)。


とはいえ、小西くんも健闘してたと思う。TV版の初期の田辺っちのイメージに近い感じで、コート姿にトキメキました(笑)。さすが元テニミュ役者!


カテコは全員お辞儀した後、「座長」貫地谷さんのツルの一声で、キャストが一斉にダッシュで捌けて行くという。一瞬、素の貫地谷さんが垣間見えて、超かわいかったです。

しかし、「ふたりの王女」って、「ガラかめ」の枠を取っ払っても完成度の高い芝居ですよね。これフツーに独立して上演できそうな気がするんだけどなぁ…。
帝劇か日生で観てみたい。


自分の歌を歌え

  • 2014.05.17 Saturday
  • 21:17
さぁ、予習はバッチリ。劇場も二度目だから場所は知ってる。待ちに待ってた『休暇 Holidays』in 赤坂RED/THEATER!!

2010年の『F.+2』以来。暑い夏の終わりだった…。
地人会新社 第3回公演
『Holidays 休暇』
作:ジョン・ハリソン
訳:水谷八也
演出:栗山民也

出演:保坂知寿(ローズ・ローストン)
加藤虎ノ介(ラルフ・グレイリング)
永島敏行(アーサー・ローストン)

原作既読なので、話の展開を知ってる分、驚きや意外性はないけれど、この重たい深刻な芝居の中、セリフの遣り取りで笑いが起きることにはびっくり。間合いとか言い回し一つで、一瞬でもヘビーな設定を忘れさせるおかしみを与えられるものなのね。

出ずっぱり喋りっぱなしの知寿さんの変幻自在な演技で、戯曲を読んでた時にはただの都会に住む中産階級インテリ女が、愚かしくも可愛い感じに仕上がっててさすが元劇団四季トップ女優。やっと克服した病に再び蝕まれ、嫌が追うにも死を見つめざるを得ない。無駄な治療はもうしたくない。けれど、どんなことをしてでも「あと20年は生きたい!」この叫びにはグッと来た。

そんな知寿さんと同じ土俵でがっぷり四つ相撲の虎ノ介に感無量。
RED THEATERが小さな小屋ってのもあるけれど(180席ないものね、AYOさま)、αさんが今日もまたいい席を用意してくれて、前方ど真ん中なもんだから、十二分に堪能しました。
いいねえ、「年上の女を翻弄する悪意なき(小)悪魔」。
いい人なんだけど、愛情はあるんだけど、どうしようもなく自己中な夫、アーサーに何もかも合わせて、人生に折り合いをつけてきたローズに、その認めたくない事実と向き合ってみる必要性を突き付ける存在。
帳尻合わせて見て見ないふりして生きてる側には全くもってはた迷惑だし、空回り気味な正義感なんだけど、どこか憎めないちょっとほだされちゃう可愛さのある男。虎ノ介の得意な立ち位置ですよねー。
こういうのは、モデル体型のイケメン(綾野剛とかムカイリーとか?)がやると、深刻な「不倫」ドラマになっちゃうんだけど、虎ノ介だとその辺がいい感じにマイルドにぼやけてくるような気がするんですよ←褒めている
ラルフのお節介は、踏み込むことを恐れて何も進展しなかった元カノ、エミリーへの贖罪でもあるのかな?その分、それが正義かどうかはさておいて、ローズの為に何かしたいっていう、ね。

ラルフのヴィジュアルは、読んだ印象からてっきりこれ↓

で来るかと思ってたので、まさかの秋葉さん(@『天誅』第5話)仕様に「ハジュレやがな〜」

ま、そんなのはお芝居が進むにつれてどうでもよくなりますけど(笑)。

ラストでローズが取った選択は、アーサーにもラルフにも縛られない新しい生き方で、それは自暴自棄なんかじゃなくて、死を恐れずにでも生を生き抜く決意表明みたいなもんかな。
帰りがけに

↑もらっちゃいました。
マンモグラフィ…今年は受けたい(ていうか、健康診断自体を受けなきゃ…)。

本日は、『OPUS』リベンジでAYO様とご一緒したのですが、「舞台出身の役者二人と映画出身の永島氏がいることが、全体のスパイスになっている」との評を頂いてなるほどな、と。
わたしは戯曲を読んで、アーサーのどこがとはっきり言えない、無意識のうちの王様っぷりがぴったりだなぁと思ってたんだけど、そうか、彼のキャリア的な異質さがアーサーの掴みどころの無さを体現していたのかと納得です。
いや、ほんと、アーサーってば表面的にはすごくいい夫なのに、一歩間違ったら暴力の伴わないDVって感じで、ある種のホラー。すっごくめんどくさいのー。


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映画館で観る舞台

  • 2014.04.25 Friday
  • 23:04
いつもだと、様子をうかがいつつ重い腰を上げるワタクシですが、初日にさっさと観てきましたお!
『ナショナル・シアター・ライヴ 2014 「コリオレイナス」』
だって、今日は仕事で横浜まで来ていたから、交通費が浮くんですものー(貧乏くさ…)。
鴨居か川崎かで迷ったけど、どっちも同じ運賃だったので、駅から近い川崎にしました。夜の鴨居とか…あんまり一人歩きしたないわ。

演出:ジョシー・ルーク 原作:ウィリアム・シェイクスピア
上演期間:2013年12月6日―2014年2月13日)
主なキャスト:
ケイアス・マーシアス(コリオレイナス):トム・ヒドルストン
メニーニアス(コリオレイナスの友人):マーク・ゲイティス
コミーニアス(ローマの将軍):ピーター・デ・ジャージー

ヴェリュータス(護民官):ヘレン・シュレシンジャー
ブルータス(護民官):エリオット・レヴィ

ヴォラムニア(コリオレイナスの母):デボラ・フィンレイ
ヴァージリア(コリオレイナスの妻):ビルギッテ・ヒョルト・ソレンセン
ヴァレリア(近所の奥さん):ジャクリーン・ボースン

タラス・オーフィディアス(ヴォルサイの将軍):ハドリー・フレイザー

本編前に、コリオレイナス役トム・ヒドルストンと、ヨメ&母上役のインタビュー有。さらに、劇場(Donmar Warehouseの説明付き。そうか、やはり昔の倉庫だったのか。「ローマの愚民ども」が「穀物寄越せ!」と叫ぶシーンから始まる戯曲なので、ぴったりジャマイカ?
キャパも非常に小さいですね(←参照)、そりゃ、チケット争奪戦になるわー(by 舞監インタビュー)。
しかし、さすがのシェイクスピア。West Endでストプレを観たことはあるけども、これは行ったとしてもはたして頭に入ったかどうか…。
一応、戯曲は読んでから観たけども、役者の動きを追っかけているうちに字幕を見失うことも多々あるのだが、そうなるともう全く内容が頭に入ってこない。で、字幕に集中してると演技が目に入らないという…。これを原語で理解できる英語圏の方々が羨ましいですよ、全く。
中盤に休憩タイム有り。ここはライヴで中継されてたので仕方ないんだけど、映画館で遅れて観てる我々にとっては全く意味なし。。延々と舞台を掃除する風景を眺めながら、軽食タイムと化す館内であった(笑)。

舞台上は至極簡素なセッティング。出番のない出演者も後方の椅子に座って待機してる(つまり、いちいち下手上手から出てこない)。「NHKのど自慢」の出場者を思い浮かべていただければ、情景が分かっていただけるかと(笑)。
衣装も兵士の鎧が時代を思わせるくらいで、メニーニアスなんかそのまんまマイクロフト兄ちゃん(@BBC版『シャーロック』)の私服姿って感じですよ(笑)
ユニークなのは、この戯曲、主人公の母、妻、その友人以外はほとんど男性のみのキャストなんだけど、今回民衆の中にも兵士の中にもアンサンブルで女優を入れてるんですね。あと、護民官二人をほとんどデキあがってる男女カップルにしたのも面白いなー。原語通りに喋ってても、英語という言語に性差がないから、早い話が男女入れ替えでも違和感無し。

主役のトム・ヒドルストンもなかなかの熱演・好演でしたが、何といっても異常なほどの息子崇拝者の母役、デボラ・フィンレイが素晴らしい。前半はただただ烈女ですが、後半、コリオレイナスがもう少しでローマへの復讐成功!ってとこで、息子の説得をしに来た母の初めて見せる弱さとか愛情の芝居と長セリフはすごい説得力。言葉の、いや演説の持つ威力のすさまじさを見せつけられたというか。いや、ほんと、コリオレイナスでなくても“O mother, mother! What have you done?”と完敗です。
…って、どっかで見たことあるなと思ってたら、『クランフォード』のMiss Tomkinsonかーっ!ヒドルストンとはまさかの『クランフォード』繋がりっ!
あと、護民官の男の方も見かけた顔だなと調べたら、ついこの間観た『あなたを抱きしめる日まで』に出ていた。うーん、でもアレックスってどういうヒトだったっけ?覚えてない〜。

そしてお目当てのハドリーは…ワイルドだぜぇ〜(笑)

何といっても、鍛え抜かれた胸 筋に目が行きます!←注:脱いでません

前半でコリオレイナスと繰り広げる肉弾戦は見ものです!(をい)
頑張れ、オーフィディアス!タッパじゃ負けてるけど、戦闘シーンは互角だ!←もはや彼しか観てないしw
しかし、やはり何といっても見どころは後半。ローマを追われたコリオレイナスが、あろうことか、自らが滅ぼした国の敵将の邸に乗り込むシーン。
オーフィディアスったら、寛容にも彼を味方に引き入れるんですが、アンタ、やりすぎ!と側近でなくても目をむくような熱い抱擁と接吻!ウホッ!やらな(ry
「世界のトム・ヒドルストンとキスした男」という称号は、ハドリーにとって「俺得」なんだろうか…と一瞬、考えてしまいました。
特筆すべきは、ハドリーが出てきて喋ると、まるで歌うように聞こえること。なんだろう、発声の違いか?いっそ、そのまま歌ってくれと思わないでもない。

一読した時は、コリオレイナスの世渡り下手っぷりしかのこらなかったけど、出演者や制作のインタビューを聴いてると、民主主義の功罪などいろいろ考えさせられます。
勿論、根っからの貴族で庶民のことなど屁とも思わないコリオレイナスを、そのまま現代世界に当てはめることはできないけど、民衆を扇動する護民官はそのまんまマスコミですよ。例えば、ものすごい高潔で全然私利私欲の無い国家権力者が、北朝鮮のスパイ活動を水際で食い止めて、甚大な被害を未然に防いだとしても、めちゃくちゃ上から目線で「そんなのは大したことない。てゆーか、おまいらも権利だなんだという前にもっと働いて税金納めろ」とか言ったら、絶対叩かれる。そういうことなんだな、と。
コリオレイナスにはこの諺を贈りたい→「物は言いよう」

"Auf die Schiffe, ihr Philosophen !" 

  • 2013.12.21 Saturday
  • 21:00
というわけで、本日のメインイベント、交響劇『船に乗れ!』。


六本木から日比谷線で銀座まで出た後、銀座線に乗り換えて渋谷に戻ってシアターオーブへ行って来ました。今のところ、オーブへの道は銀座線が一番分かりやすく、近いような気がします。

ところでワタクシ、こちらの観劇の予定が入った時点で、予算の都合により『モンテ・クリスト伯』観劇をあきらめましたわ(笑)。まさか、虎ノ介が一年に三度も舞台に出演するとは思わなかったでぇ←なぜ若狭言葉w
鬼が笑いますが、来年の舞台も底抜けに楽しみです。
つーか、『グレンギャリー・グレン・ロス』で石丸幹ちゃん、今回のぷくちゃん(=福井さん)、次の『Holidays 休暇』での知寿さんと、元四季との共演が多いぞ。
本日のキャスト
津島サトル(チェロ):山崎育三郎/福井晶一

南枝里子(ヴァイオリン):小川真奈
伊藤慧(フルート):平方元基
鮎川千佳(ヴァイオリン):谷口ゆうな

新生学園オーケストラ:松岡卓弥/加藤雅美/入野自由/輝馬/前山剛久/木内健人/西岡優妃/吉田萌美

久遠先生(担任&オーケストラ担当):金沢映子
金窪先生(倫社):加藤虎ノ介

北島先生(ピアノ):田中麗奈

枝里子の母:木の実ナナ
サトルの祖父:小野武彦

オーケストラ:東邦音楽大学管弦楽団

「交響劇」とは何ぞやと言われれば、芝居をしている後ろで数々のクラシック音楽をBGMのように奏でつつ、時に日本語歌詞を載せてキャストが歌う時の演奏として、時にキャストの演奏シーンにおける実際の演奏を担当する影武者として、常に舞台上に存在するオーケストラと芝居のコラボ…とでも言えばわかりやすいか。
ミュージカルとは言えないけど、歌があるので純然たるストプレでもない。「音楽劇」というものがあるけど、オケ隊なので「交響劇」となるのかな。
ま、オペラをやる落語会に行ったことのあるわたしには、あまり戸惑いはないですね(笑)。

原作が結構読みごたえのある小説で、大人になったサトルが痛くて痒い高校時代を回想しては後悔しまくる話なので、一体どうやって3時間弱にまとめるのかと思ってたけど、意外にもきれいにまとめていて、改編は多少あっても改悪なし。
気になったのは枝里子とサトルの格差を出すために、枝里子の父親が死んだことになってることかなー。ホントに生活苦しかったら、ドイツに行きたいとか言う前に、そもそもヴァイオリン専攻どころの話じゃないだろう。
あと、いくら私学といえども80年代にあんなミニスカチェック柄の制服着てた女子はいないと思うんだー(笑)

わたしのお目当て、倫社の金窪先生の出番は1幕2幕で教室と自室がそれぞれ2回ずつ、計4シーン。
上手側からすっと教室に入ってきて出席を取るところから始まりますが、これがまた至って健全な高校教師で、恐らく虎ノ介史上一番、屈折したところのないノーマルで健全且つ大人な役どころではなかろうか(笑)。自分と興味関心を同じくする生徒と出会えて、年の差を超え素直に嬉しがる金窪先生カワユス。
金窪先生は原作の中でもすごく重要なキャラで、正直、原作読んでて虎ノ介が思い浮かぶかというとそうじゃないんだけど(『OPUS』の時はすんなりドリアン=虎ノ介だった)、あ、こういう役もできるのねという軽い驚きと感動。いい役もらったよね。

「実を言うとクラシックに興味ないからさー」のセリフの後、
いやいや、あんた、天才ヴィオラ奏者だったじゃん!
とか
追っかけまでいる売れっ子ピアニストもやったじゃん!
とか、わけの分からんツッコミを入れたのはわたしだけでいい(笑)。

サイトに載ってる写真より、もっと白髪が入った前髪が伸びてセンター分けになっとります。安定感のあるいい声と滑舌に惚れ惚れ。
今回も虎ノ介の事務所に優先で取っていただいた席ですが、これがねー。10列目は嬉しいんだけど上手側ってのがねー。
観劇された方はお分かりだと思うんですが、金窪先生ってほぼ全てのシーンで下手側を向いてるんですよねー。
ボロアパート(@サトル)が上手側なのはいいんだけど、そこでもサトルが下手から上手を向いて喋るもんだから、アタシの席からだとちっとも虎ノ介の表情が見えないのよう!(きいっ)
ま、背中の哀愁と色気が拝めたからいいけどね(いや、あんまりよくないけど)。

そんな虎ノ介ファン目線全開で鑑賞していたワタクシ的クライマックスは、二幕の「なぜ人は人を殺してはいけないのか」を説くシーン、そしてクソサトルのせいで失職してしまった金窪先生にサトルが謝罪しに行くシーン。
「謝罪は受け入れるが、許しはしない」って、なんか「大人だからこうやってきちんと対応してるけど、ホントは結構ギリギリ譲歩してんだからな」っていう反応でドキドキしますね。原作だと、このシーンには金窪先生の彼女がいるんですが、サトルと二人きりのシーンにして対峙しているのが緊迫感あってよかったです。

とりあえず、サトルは金窪先生に百回土下座な!

ちなみに、ここでタイトルともなった「船に乗れ!」が語られるわけですが、この長セリフには底抜けに聞き惚れちゃって、このままラジオドラマ化してくれとか思っちゃったよ、へへへ。
サトルに言い渡してるところが、四草に説教してる草若師匠にオーバーラップして、別の意味で感動したわ(←ちょうど今日の回)。

カテコでは歌要員のキャストたちと「船に乗れ!」を歌ってたり、隣りの由良さま(@平清盛)と言葉を交わしたり、ちょっと余裕な雰囲気がうかがえて、オーブというデカい箱でリラックスしている虎ノ介に思わず目から汗が…。
ファンとしても、嬉しいものがありますわ。


『あぶデカ』ファンとしては、少年課の松村課長こと木の実ナナさまをナマで観られて感無量。それこそもう純然たる「スタァ」なオーラ振りまきまくりのカテコのお辞儀の何と華やかなこと!うっとりしちゃった。
今日は、意識せずチケット取った割に千秋楽だったので、1936&ぷくちゃん、原作者&演出家&プロデューサーのご挨拶付きで万感の思いです。
由良さまというか「初代なっちゃん」の麗奈ちゃんの、アドリブなのかセリフなのか分からない自然な遊び心のある言い方や芝居もよかったし、オケのおっかない先生、金沢さんのド迫力な発声もさすが文学座ベテラン。
おじいさま「小野武」さんのべらんめぇだけど紳士なたたずまいは、原作そのものでした。

そういえば、今回の舞台でようやく1936が認識できたような気がする…。若手ミュージカル俳優ってみんな同じ顔に見えるんだよねー。いつも浦井健治と間違えてたわ(笑)。
どさくさに紛れて“Cafe Song”をピアノで弾かないように!(←近くの席の人たち、みんなくすくす笑ってた)
幕間も高校生組キャストが早めに舞台に出て、芝居の一環でキャッキャやってるのが二幕への橋渡しみたいな感じでよかったです。

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