三代目徒然なるままボヤッキーニッキー

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店の猫貸します

全国の虎ノ介ファンのお姉さま方、底抜けにお待たせいたしましたがな!
警察関係者でも犯罪者でも被害者でもない役で、虎ノ介がNHKに帰って参ります!
ブランケットキャッツ』(全7回)
そんなわけで、ドラマの原作を借りてみた。


著者:重松 清   出版社:朝日新聞出版
発売:2008年2月  定価:¥1,500+税
入手経路:地元図書館にて貸出し

うう…全編、猫まみれ←当たり前w
生まれてこの方、猫に触ったことのない(そして興味のない)わたしには理解しがたいのですが、CDやDVDのように猫を二泊三日で貸し出す「レンタル猫」を描いた連作短編集。
1.「花粉症のブランケット・キャット」
子どもができない夫婦が心の隙間を埋めるために猫を飼おうとするが、まずはお試しで飼ってみる、という話。
たぶん、これが虎ノ介が出るヤツだ。

2.「助手席に座るブランケット・キャット」
満たされない一生を送ってきた女が余命を知り、罪を犯し、黒猫と共に逃避行。
これは富田靖子出演のヤツかな。

3.「尻尾のないブランケット・キャット」
「いじめ」問題に揺れる中学生と、マンクス・キャットの話。
この「いじめ」と少年の関係については、ちょっと珍しい切り口かな。
マンクス・キャットね…。マン島って、タックス・ヘイヴンで有名だけど、この猫もなかなか名前を知られているよね。

4.「身代わりのブランケット・キャット」
痴呆の祖母が施設に入所する前日に、昔飼っていた猫そっくりの猫をレンタルしてくる話。
あ、これが一話になるのね、きっと。

5.「嫌われ者のブランケット・キャット」
フリーターと派遣社員のカップルが、ペット禁止のアパートで猫を飼うため、大家さんがレンタルしてる猫をレンタルしてきて、その猫となじませようと画策する話。

6.「旅に出たブランケット・キャット」
家出した幼い兄妹と、レンタル先から逃げ出した猫の逃避行の話。

7.「我が家の夢のブランケット・キャット」
リストラされたお父さんと、家を売らなければならなくなったその家族が最後の思い出に猫をレンタルする話。


うーん…「猫」の話だからほのぼのしてんのかな〜なんて思ったら、意外と世知辛いというかシビアな話ばっかだったわ。
最後の話なんか猫なんて借りてる場合じゃねーだろ!ってツッコみたくなるくらいキツいわぁ…。
どの話にも共通して、レンタルショップの店長が出てくるんだけど、敢えてというか、この人には焦点が当たってないただのモブ。
ドラマでは妻が遺した猫(たち)と早いとこ、おさらばしたいやもめとして登場し、この人を主軸にして話が展開していくんですね。
ちなみに、主役は西島秀俊兄つぁま。虎ノ介とは『無痛』以来の共演かな?

ドラマは、23日夜10時より毎週金曜NHK総合にて放送。虎ノ介出演の回は第二回です。

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殺人よ、ごっつぁんです

全てはこのTwitterから始まった!


「衝撃的なあらすじ」がこちらになります↓
ひょんなことから相撲部屋に入門したアメリカの青年マークは、将来有望な力士としてデビュー。しかし、彼を待っていたのは角界に吹き荒れる殺戮の嵐だった!立合いの瞬間、爆死する力士、頭のない前頭、密室状態の土俵で殺された行司…本格ミステリと相撲、その伝統と格式が奇跡的に融合した伝説の奇書。

ちょうど夏場所を国技館で観たこともあり、図書館で蔵書検索してみたらあったんだわ…。
『大相撲殺人事件』 

著者:小森健太朗  出版社:角川春樹事務所
発売:2004年1月   定価:¥946
入手経路:地元図書館にて貸出し

…角界を舞台にした国際色あふれる本格ミステリ!とか思ったわたしがバカでした。

めっちゃくっだらねー!←良い意味で

おふざけもここまでくれば一周まわって許容範囲というか。
連作短編なんだけど、その根底には「土俵下に倒れこんだ力士二人の下敷きになって障害の残った力士の家族」という悲劇があって、その復讐で殺人事件が起こるんだけど、同じ恨みを持つ加害者が複数いること、殺人を起こす理由がそれぞれ異なること、歴史に登場する相撲に対して裏で暗躍した家系の存在があること、と背景が複雑すぎる。
その割には、壮絶な殺人事件が繰り広げられても一向に解決に動かない警察や、凄惨な事件現場を目の当たりにしてもうろたえないいたいけな女子高生(親方の娘)とか、まったくもって重みのない人物描写が続く。
途中まで真剣に読んでた自分が恥ずかしいわっ。

この小説世界の大相撲協会、いろいろ大変だろうなぁ…(笑)
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恋の骨折り得

「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ、六年かけてようやく完結!
ビブリア古書堂の事件手帖7 〜栞子さんと果てない舞台

著者:三上 延   出版社:KADOKAWA(メディアワークス文庫)
発売:2017年2月 定価:¥650(+税)
入手経路:地元図書館にて貸出し

一巻が評判高くて、その後ドラマ化されたりもしたもんだから、そのまま最終巻まで読んだけど、途中から惰性で読んでたような気もする…。
文体とか会話とかは、ほぼ同時期に発売されてた同じく「地域限定・職業・ミステリ・男主人公視点・ワケあり美人ヒロイン」小説の「タレーラン」シリーズに比べたら、文句の言いようもございませんが…。
なんというか、ネタの為の小説展開が見え見えで面白くなくなっちゃったんだよね〜。
あと、新刊が出るたびに図書館で借りて読んでるので、前の巻がどういう話だったか忘れかけてたりする…のは自分のせいだけどさ(笑)。

それでも最終巻は(一応)大団円で、ヒロインが抱えていた因縁も屈託も解消し、語り手の五浦、おめでとう、観たいな感じでなかなか読後感は良かったです。
骨折に至る物騒な事件が多かった本編ですが、最終巻でフィーチャーされたシェイクスピアにちなんで言えば、『恋の骨折り損(“Love's Labour's Lost”)』とはならずによかったね。
まさに“The Winner Takes It All” かと。

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振り向けばヨコハマ

横浜でめっちゃ売れてる(?)SF小説を読了。
『横浜駅SF』
「カクヨム」第1回WEB小説コンテストSF部門大賞受賞作

著者:柞刈湯葉   出版社: KADOKAWA/富士見書房
発売:2016年12月 定価:¥1,296
入手経路:地元図書館にて貸出し

そもそも『横浜駅SF』とは?

2015年の年初に発せられたこのつぶやきを起点に、「無尽蔵に広がり続ける巨大構造体と化した横浜駅を旅するSF」という内容で作られた即興短編ストーリーである。その後、Togetterにまとめられたtwitter版をプロットとして、ブログ上で本編を執筆、全26話で完結した。カクヨムに番外編の掲載がされている。

「横浜駅」は神奈川県横浜市の鉄道駅であり、開業当初からずっと工事が終わったことがない(現在も工事中)ということをネタにされる駅でもあったりする。このネタを発展させて、無軌道に成長・侵食を続ける横浜駅に本州が覆い尽くされた世界を描いたのがこの作品である。このため、物語は「横浜駅」の「エキナカ」で進むが、横浜市は全く出てこない。(「ニコニコ大百科」より
ただ一つの「つぶやき」から小説が生まれるなんて、ちょっと前には考えられなかったよねぇ…。
わたしがこの本に(というかTweetに)興味を持った理由は、「日本のサグラダファミリア」「永遠に工事中」であるところの横浜駅利用者であるからです。
そう、確かにわたしが子どものころからどこかしらは工事していた。そして今現在も絶賛工事中。
今のところ、(現実の)横浜駅は横浜市西区の一角からはみ出る気配はないけれど、この小説では鉄道が普選されていれば遠慮なく横浜駅が自己増殖するので、かのうどん県もすでに横浜駅の一部と化しております。
「北海道だって新幹線が走ってるじゃん!」ですって?
残念。地下だから増殖の間の手が伸びにくいんだってさ。
そんなわけで、この世界で横浜駅に抵抗しているのはJR九州と北海道だけ(笑)。
大半の日本人は横浜駅構内(つまりエキナカ)で生存しているわけですが、そこに生きる権利を持っているのはsuicaが埋め込まれた選ばれた人々のみ。
6歳未満の子どもを除き、デポジットを支払えない人々はエキナカから追放されるという恐ろしい格差社会になっています。
こんな風に、いい感じに現代の鉄道事情がパロってあったり、各章の見出しが有名SF小説のもじりだったりと、SF小説にはあまりなじみのないわたしでも、一気読みできる面白さ。
大して野望も目的も持たない主人公が好奇心から「横浜駅構内5日間400キロの旅」に出て、横浜駅の増殖をストップさせるというストーリーなので、実際の横浜駅を知らない人でも存分に楽しめる近未来ロードムービー風小説とも言える(かもしれない)。

ちなみにワタクシは私鉄沿線に住んでおりますので、suicaではなくパスモユーザーでございます。

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But Not For Me

カナダ旅行中もiPad mini持参でしたので、ネットニュースはチェックできたのですが、まさか留守中にこんなビッグニュースが解禁されるとわー!↓
映画『坂道のアポロン』ディーン・フジオカが出演 劇中で歌声披露
ああ、それで『IQ246』の撮影中にトランペット吹いてたのかー。

ええ、まぁ目撃情報から察してはいましたけどね!
なんだ、またコミックの映画かー、予習ができないじゃないのさ!と思ってたら、期間限定(〜6/4)で「マンガワン」が全巻無料公開だってさ!  \(^o^)/
というわけで、本日期限ギリギリで間に合ったぜ!
1966年初夏、男子高校生・西見薫(知念侑李)は船乗りの父親の仕事の都合で、横須賀から長崎県の佐世保市にある佐世保東高校に転校した。
転校初日、同じクラスのバンカラな男・川渕千太郎(中川大志)との出会いをきっかけに、ジャズの魅力にはまり、薫の高校生活は思わぬ方向へ変化していく。更に、薫は千太郎の幼馴染である迎律子(小松菜奈)を好きになるが、律子は千太郎に、千太郎は上級生の深堀百合香(真野恵里菜)に、百合香は桂木淳一(ディーン・フジオカ)に思いを寄せていて、それぞれの恋の行方も複雑になっていく。
ある日、薫は律子が千太郎のことが好きなのを承知の上で、律子に自分の思いを告白する。薫の告白に途惑う律子であったが、千太郎が律子の思いに気がつかないことから、次第に薫に魅かれていく。
一方、千太郎は百合香が淳一が住むアパートに居るのを偶然見かけ、激しく動揺する。
百合香は、家族から大学を中退し佐世保で無為に過ごす淳一との交際を反対されていた。
淳一は現在の自堕落な生活から立ち直ろうと、東京の出版社への就職を決める。それは、まだ高校生で佐世保から離れられない百合香との別れを意味していた。
(Wikipediaより引用。カッコ内は映画のキャスト)

正直、あんまり絵柄は好みじゃないなぁ…。

でもストーリーは長期連載漫画によくある行き当たりばったりの冗長さがなくて、緻密に練られてて、かなり読みごたえがありました。
一つのエピソードがまとまりかけたと思ったら、次の事件が起きて、誤解が生じて、解決までにいざこざがあって…というループが、いかにも「青春のいじわる」(@菊池桃子)なんだなぁ…。
ラストの教会がある島は、五島列島のどれかですかね。世界遺産〜。

それにしても2007年連載開始にもかかわらず、60年代の雰囲気をあれだけ醸し出せるってすごいな。
けど、これを一昔前ならいざ知らず、2017年に60年代を再現して映像化ってかなり困難だと思うんだけど…。セットや小道具やロケ地の選定という問題じゃなくて、まずメインキャストの三人に60年代の雰囲気が未曾有も感じられないんだわ。
ま、日米混血設定の千太郎を中川君が演じる時点で、彼にまつわるダークな生い立ち設定はスルーなんだろうなぁ。ホントは、今より過酷な差別とかはっきり目に見える家庭環境の格差とか、そういう映像化できなさそうなところこそがこの作品の肝だと思うんだけどね。

ていうか!それ以前に!
ディーン・フジオカ、若く見えるけど(笑)、あれでも36歳ぞ!
淳兄さんが大学生という設定こそ、今回の映画化でどう考えても実現不可だろうが!!

あ、いや待てよ。
26歳で高校生役を違和感なく演じてた彼なら、60年代の老成した大学生くらい大丈夫か?
<参考資料>

↑現在GYAOで二話ずつ期間限定で配信中

ちなみに、ワタクシ的には“But Not For Me”はチェット・ベイカーではなく、四季初演で観たミュージカル『クレイジー・フォー・ユー』経由で知りました。

↑ポリー役:保坂知寿

映画『坂道のアポロン』は2018年公開です。
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愛宕山

今年の「このミステリーがすごい!」、通称「このミス」大賞の優秀賞受賞作『京の縁結び 縁見屋の娘』読了。

著者:三好昌子  出版社:宝島社
発売:2017年3月 定価:¥650+tax
入手経路:地元図書館にて貸出し



題名からして、相性を見抜いたり、いわくつきの縁談の裏を探ったりする娘の話かと思ったら
「縁見屋の娘は祟りつき。男児を産まず二十六歳で死ぬ」――江戸時代、京で口入業を営む「縁見屋」の一人娘のお輪は、母、祖母、曾祖母がみな二十六歳で亡くなったという「悪縁」を知り、自らの行く末を案じる。謎めく修行者・帰燕は、秘術を用いて悪縁を祓えるというが……。縁見屋の歴史と四代にわたる呪縛、そして帰燕の正体。息を呑む真実がすべてを繫ぎ、やがて京全土を巻き込んでいく。
ちょっと禍々しい感じの謎解き+ファンタジーっぽい時代小説でした。
娘の先祖が愛宕山の天狗と出会ったのを発端として、天狗との約束を裏切った上、我が息子の身代わりとして奉公人の幼い息子を差し出しが故に奉公人を死なせてしまった悪行の災いが四代にわたって娘に降りかかる。
修行者の正体、お輪に憑りついた奉公人の無念、そして大火の予知、とおよそ非現実的なんだけど、時代小説だとあーそれもありかと思っちゃうから不思議。
それにしたって、その悪縁、もっと早く、止めたらんかい!

ストーリー的にはそれほど山場があるわけでもないし、まぁ何となくラストも想像付いちゃうんだけど、登場人物の京ことばが魅力的です。音声で聴きたいな。

ところで、愛宕山って言ったら「ちりしたん」としてはこれしか思い浮かべられないんだが…↓

ま、こんなお呑気なとこだけじゃなく、信仰の場修行の場でもあったということで。
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A Flying Tyre

昨日深夜まで、いや日付変わってたかな?とにかく返却期限に間に合わせるべく、珍しく必死こいて『空飛ぶタイヤ』読了。

【第28回吉川英治文学新人賞、第136回直木三十五賞候補作】
著者:池井戸 潤   出版社:実業之日本社
発売:2006年9月 定価:¥2.052
入手経路:地元図書館にて貸出し

あまり愉快な話ではないので、最初の方がどうしてもページが進まず辛かったけど、途中からもうページめくるのももどかしいくらいに止まらない。
主人公の会社にかかってた容疑が晴れた瞬間、思わず涙が…(T T)
そして、今日は眠気と戦う一日であった…orz

で、今朝のニュース→「ディーン・フジオカ、本木克英監督作「空飛ぶタイヤ」で長瀬智也と初共演!

わぁ、すごーい。偶然だねー!(棒)

……

誰かにツッコまれる前に正直に自分で言います。
そうです。嘘です。
だいぶ前から長瀬とのツーショットが拡散されてたし、目撃情報上がってたんで、わたし、知ってましたー。
長瀬が主演なら、きっと準主役ともいえる沢田役じゃないかなと仮定しながら読んでたんだけど、当たったね(^^)v
てか、長瀬ってもう38歳なのかーい!(おディーンより二つも上だったんかーい)
わたしの中での彼は、おそらく永遠に、鈴木保奈美に熱視線を送る青年(当時17歳)のまんまなの…。


ところで、池井戸作品初の映画化とのことですが、『空飛ぶタイヤ』って昔、WOWOWがドラマ化してましたよね。
2009年にはWOWOWの連続ドラマW枠でテレビドラマ化された。自動車会社が有力スポンサーの地上波では、作品の性質上、制作は難しいと思われたが、有料放送のWOWOWでは地上波のようにスポンサーの影響を受けることなく番組制作を行えるため、ドラマ化が実現する運びとなった。
2009年日本民間放送連盟賞において番組部門テレビドラマ番組最優秀賞、東京ドラマアウォード2009において連続ドラマ部門優秀賞、第26回ATP賞テレビグランプリ2009においてグランプリおよびドラマ部門最優秀賞を受賞した。(Wikipedia)

なお、主なキャストは
赤松 徳郎:仲村トオル - 赤松運送社長
沢田 悠太:田辺誠一 - ホープ自動車カスタマー戦略課長
井崎 一亮:萩原聖人 - ホープ銀行調査役
高幡 真治:遠藤憲一 - 新港北署刑事
原作では見栄えのしない小太りの赤松社長を、スタイリッシュなトオルくんが演じた時点でもう別物よね。彼ならむしろ沢田や井崎の方が合ってるし。
長瀬も全然イメージと違うけど、彼のぎらぎらした感じは何となくしっくりくるな。
自分の会社に降りかかった「殺人」容疑を晴らすべく、警察や世間や大企業相手に奮闘してるのに、融資を打ち切られるわ、取引先をなくすわ、被害者に訴えられるわで、これでもかと押し寄せる苦難の連続。これが、GW前から借りてたのに、読み進められなかった原因よ。
とにかく、赤松目線で読むと3/4以上まで辛いことだらけ。
一方、赤松の交渉相手になる沢田は、ふとしたことから会社の不正を知るわけだけど、その事実を赤松のために暴くのではなく、自らの野望の切り札とするところが、読者の期待を裏切って面白いところ。
とは言っても、赤松の窮状を知ったところで俺には関係ないねという態度から、内部告発につながるまでの変遷は、主役より複雑な分、脇役スキーにはたまらないキャラである。


事故を起こしたトラックの販売元の会社が、ホープ自動車、グループ会社がホープ銀行、ホープ重工となってるけど、言わずと知れた「スリーダイヤ」のことですね。
母子死傷事故からのリコール隠し発覚までの一連の不祥事が基になってます。
横浜母子3人死傷事故
2002年1月10日、神奈川県横浜市瀬谷区下瀬谷2丁目交差点付近の中原街道で発生した事故。
綾瀬市内の運送会社が所有する重機を積載して片側2車線の走行車線(事故当時、付近にガードレールはなかった)を大型トレーラートラックのトラクター(ザ・グレート、1993年製)の左前輪(直径約1m、幅約30cm、重量はホイールを含めて140kg近く)が外れて下り坂を約50m転がり、ベビーカーを押して歩道を歩いていた大和市在住の母子3人を直撃。母親(当時29歳)が死亡し、長男(当時4歳)と次男(当時1歳)も手足に軽傷を負った。

神奈川県警が車両の検分を行ったところ、事故を起こした車両はハブが破損し、タイヤやホイール、ブレーキドラムごと脱落したことが判明。三菱自工製の大型車のハブ破損事故は、1992年6月21日に東京都内で冷凍車の左前輪脱落事故が確認されて以降計57件発生し、うち51件で車輪が脱落していた(うち事故車両と同じ1993年製が7割を占めていた)。(Wikipedia)
事故現場、事故車の所属会社、被害者のそれぞれが、ウチの近隣なもので、事故発生当初から馴染みがあった分、小説の存在も知ってたけど、なかなか手を出しにくくって。
おかげでようやく読めたわ。ありがとう、おディーン様。
グループ内における格差とか、グループの尻拭いを銀行がさせられるとか、なんだかんだでグループにいる限り安泰だとか、事故なんかなかったことにしちゃえばいいんだよーとか、ホントにあきれるばかり。人一人死んでるのに、何の危機感もない社風がこわい!(岩崎)弥太郎もびっくりぜよー!
ちなみにわたしは一度、田町の自動車会社に面接に行ったことがあるんですが、自動車免許も持ってないのになんで行ったんでしょうねぇ。当然、落ちましたけど。

このタイヤが飛んだトラックの会社、実際は廃業しちゃったそうですが、小説では二死満塁からの逆転ホームランってくらい、危機を何とか乗り越えて、明るい未来が待ってます。
こういうフィクションにおける救済って、小説とか映像作品とかが成せる希望というか功績だなぁって思うので、エンタメ\(^o^)/




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火花散らして劇場へ

ドラマ『火花』が、昨夜で最終回を迎えました(ほんで来週から『ダウントンアビー』っていう節操のなさw)。
好きな役者が出てるわけでもないのに全十話、完全視聴しちゃったよ…。ていうか想定外に面白くて、ドラマとしても上質だったと思うんだけど。
漫才師の話だから原作でも漫才シーンが多いんだけど、まぁ落語でもそうだけど、話芸って字面追ってるだけだと面白さ半減なんだよね。ドラマは、尺の長さを思いっきり有効活用して、漫才シーン多めで、そして「スパークス」も「あほんだら」もこれでもかっ!てくらい漫才での魅力全開だったのが、面白さの要因ではないかと。
それにしても、鼻毛よかったよ鼻毛!←だから波岡君だってば(^^ゞ
良い役もらったなぁ。そして実力を発揮したなぁ…。虎ノ介、何してるー!
まさか、ほんとにFカップ再現するとは思わなかったけどな(笑)


さて、そんな『火花』原作者の又吉先生の二作目である『劇場』読了。
って言っても、単行本の発売は11日。一足お先に「新潮 4月号」で読みました。

発売:2017年3月7日 定価:¥980(税込)
入手経路:地元図書館にて貸出し

三百枚、読ませるねぇ!
結論から言うと、『火花』よりもこっちの方が小説として好みでした。
『火花』は、常識人徳永による先輩芸人神谷への憧れ、尊敬、反面教師がないまぜになった語り口なんだけど、『劇場』はその破壊神・神谷をもっと尊大、自己中にして更に屈折しまくりにした舞台脚本家・永田による一人称。
結果、ぶっとんだ人間(=神谷)を生ぬるく見守る(=徳永)スタンスだった距離感が一気に縮んで、ストレートに誰彼かまわず傷つけまくるイカれた人間(=永田)が話を進めるので、読んでて非常にイタイ。だがそのイタさが面白い。
多かれ少なかれ、人は誰しも誰かに羨望しつつも卑屈になるという経験があるわけで、そういう共感という意味では、芸人の世界を描いた前作より普遍性はある気がします。
そこが、『火花』より面白く読めた理由かな〜。

『火花』では、それ以上神谷と一緒にいたら自分が痛い目に遭うというのを本能で察して、離れていった真樹ちゃんという賢い女の子がいたのですが(ドラマで門脇麦ちゃんが好演)、『劇場』で永田と付き合う羽目になった沙希ちゃんはちょっとおっとりが過ぎて、というかアホの子なのか、なかなか別れられず病んでしまいます。
そこまで追いやったのは永田であるのに、彼の目を通して読んでいるので、なかなかその傷の具合がはっきり明かされないあたりが巧いのよ。
冷静に物事を見ているようで、実は永田も相当イッちゃってるので、ちょっと…いくらなんでも…それはもうDV一歩手前では?という沙希ちゃんへの追い詰め方など、何気にホラーです。
最後にようやく別れを決意して、共依存みたいな関係性からお互いを解放して終わるわけですが、いや、これはわかれてよかったんだよ、とカタルシス。

ところで、相方がNYへ行ってしまっても、又吉先生は芸人としての活動もお続けになるのでしょうか?
なんか『火花』で山下に去られた徳永みたいやん…(涙)
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I will kiss you mouth, Jokanaan

サロメ:あたしはお前の口に口づけをするよ、ヨカナーン。
(オスカー・ワイルド『サロメ』)

院生の時、オスカー・ワイルドの『サロメ』を講義で取っていたのですが、「原文はフランス語だからフランス語で読もう」とか言い出した教授が、ワタクシの修論の主査だった思い出。
さて、『サロメ』と言えば、まずヴィジュアルとして思い浮かべるのは、著者のオスカー・ワイルドではなく、オーブリー・ビアズリーのこのサロメ↓

夭折した若き天才ビアズリーと、その姉の秘話を描いた小説、『サロメ』読了。

著者:原田マハ    出版社:文藝春秋社
定価:¥1,400(+税)  発売:2017年1月
入手経路:地元図書館にて貸出し

へー、ビアズリーの姉が女優だったとは知らなんだ(というか、姉がいたことすら初耳だ)。
なんか…ちょっと、あまりにも密接な姉と弟の関係性に息苦しさすら覚えるし、いくらフィクションでもそこまで突っ込んでいいんかい?って思ってWikipedia見てたら、
1894年、挿絵入り文芸誌『イエロー・ブック』創刊。同誌の美術担当編集主任となる。このころ経済的に余裕ができたため、ピムリコ地区ケンブリッジ通り114番地に家を購入し、姉メイベルと同居。近親相姦説もささやかれた。
おお…事実がもとになった創作だったのね…。
ワイルドと“ボージー”ダグラス卿との関係は有名ですが、そこに割り込む形でビアズリーの存在があったとしても不思議ではない。
なにしろ、ビアズリーが『サロメ』の「英訳者になることを望んでいたが叶わなかった」一方で、英訳したのはダグラス卿という事実があるのだから。
そしてその三角関係のすぐ近くで、ワイルドに嫉妬し、ダグラス卿と共犯者になり、弟を奪い返す姉メイベルが暗躍していた…という小説です。
まぁ、一言で言って、お姉ちゃん、やりすぎ…(^^ゞ
(小説の話だけど)、弟のために歴史を変えちゃったよ。
天才のそばで生きる平凡な姉、という傍から見たら辛そうな人生なんだけど、当のメイベルはその弟が自分よりワイルドに惹かれていくのが許せないっていうんだから、怖いよう。

日本の小説なんだけど、世紀末のロンドンの隠微な雰囲気が立ち込める、英国チックな小説でなので、好きな人は好きだろうなぁ。

ちなみに、上記の教授は講義の後で、こんな芝居↓に連れってくれたのだった。

濃いわ〜(笑)

FYI:原田マハさんが『サロメ』をテーマに描くミステリ
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私小説

芝公園六角堂跡』読了。

著者:西村 賢太   定価:¥1,500(+税)
出版社:文藝春秋社 発売:2017年2月
入手経路:地元図書館にて貸出し

読んでみようと思った動機はズバリ、タイトルです。
芝公園付近は、ハケン先への通勤路であったので(笑)。
あーでも「六角堂跡」がある芝公園は通ってなかったな。

JR浜松町駅から増上寺前を通って御成門方向へ、が晴れた日の通勤経路でした(懐かしい…)。
芝公園には古墳もあるんですよね。今度近くに行くことがあったら、是非寄ってみたい。


えーと何の話だっけ。あ、小説ね。
タイトルは、この著者が敬愛する藤澤清造という作家の終焉の地なんだそうです。
1932年1月29日早朝、芝区芝公園内の六角堂内で凍死体となって発見される。(Wikipedia)
今は「跡」と言うくらいなんで、現存してないそうですが。
四作の短編小説集なんだけど、時系列的に2015年の2月、6月、7月、12月と分かるようになってて、作家の日記を読んでいる感覚に近い。

最初、全く気付かなかったんですけど、『苦役列車』で芥川賞を受賞した作家でしたか。名前にピンと来なくても、映画で覚えてたわ。


どう見ても実在の歌手がイニシャルで登場したり、どう見ても作者自身ですよね〜な行動だったりで、ものすごく引っかかりながら読み始めたんだけど、そうか、これがいわゆる「私 小 説」というものなのか。
最近、こういう小説読んでなかったなぁ…。
設定がリアルで作りこんでない分だけ、想いも悔いも憧れも卑屈さもビシバシ自分に跳ね返る。ただ書き連ねるだけならここまで感情を揺さぶりはしないので、そこは作家の技量があってこそ。
が、頻繁に出てくる自己卑下の塊のような描写には、いささか辟易するので、これは読む人を選ぶだろうなぁと思った。
日々に忙殺されてても、無意識のうちに原点(=六角堂跡)に引き寄せられるっていうのが、抗えない業みたいなのを感じて、分かりたいような分かりたくないような…。
これは映像作品より、だれかの一人芝居で観たいな〜と思いました。
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