三代目徒然なるままボヤッキーニッキー

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ユニクロ帝国の裏側

「文春砲」は大嫌いですが、この連載は面白かったな〜。
初回掲載の時は、著者自身はまだ勤務中だったとか、その後解雇される様子とか、ナマナマしい…。
ユニクロ潜入一年

著者:横田増生 出版社:文藝春秋
定価:¥1,500(+税) 発売:2017年10月
入手経路:地元図書館にて貸出し
序 章 突きつけられた解雇通知
第一章 柳井正社長からの狆径埔
第二章 潜入取材のはじまり イオンモール幕張新都心店 米鵝三豸淒十月〜十一月)
第三章 現場からの悲鳴 イオンモール幕張新都心店◆米鵝三豸淒十二月〜二〇一六年五月)
第四章 会社は誰のものか ららぽーと豊洲店(二〇一六年六月〜八月)
第五章 ユニクロ下請け工場に潜入した香港NGO
第六章 カンボジア爛屮薀奪告発畍獣麓荳
第七章 ビックロブルース ビックロ新宿東口店(二〇一六年十月〜十二月)
終 章 柳井正社長への狎入の勧め

「批判する人はわが社で是非働いて欲しい」って社長が言うから、バイトしに来た、っていうのが正しい「売られた喧嘩の買い方」ですね。
しかも一店舗だけじゃなくて、複数店舗で経験値を積むっていうのが、取材って言うのはこういうことかと。エビデンスは複数取らないと、取材にならないんだ〜。
デッカイ店舗だから時給がいいとは限らないとか、店舗によって天国と地獄とか、どこも同じじゃんと思ってたけどこれからは見る目が変わりそう。

動機は何であれ、接客もレジ打ちもできて、おまけに外国人客の対応も英語でこなせるデキるアルバイターをクビにするとはユニクロも懐が狭いわ。
ていうか、ここまで現場で起きてる非効率なことを教えてくれてるんだから、掬い上げて対処したらいいのに…と考えるのはドシロートの浅はかさでしょうか。

潜入取材の合間に海外取材を挟み、どういう経緯を経て、店舗で売られているかを知ると、「物を買う」という行為自体に想いを馳せてしまう、気が付けば上から下までオールユニクロなわたしであった。
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観てから読む

結果的に。

先月、虎ノ介が出演していたドラマの原作を読了。
がん消滅の罠 完全寛解の謎

第15回『このミステリーがすごい』大賞受賞作」(受賞時タイトル:『救済のネオプラズム』)

著者:岩木一麻  出版社:宝島社
発売:2017年1月 価格:¥1,380(+税)
入手経路:地元図書館にて貸出し

勿論、わたしは原作読んでから映像化(舞台化)作品に臨むのが好きなんだけど、虎ノ介INのニュースが遅かったので、そこから予約して待ってる間に、二か月経っちまったのさ。
こんなことなら、東海道線のドアに広告が貼ってあるときにさっさと図書館で予約しとけばよかった(←気にはなってたのだよ)。

そうか、『縁見屋の娘』と同じ年の「このミス」だったか…。最近「このミス」よりも「松本清張賞」の方が好みかも。
ミステリはミステリなんだけど、如何にも理系の人が書いた小説っすね…ていうのが一読後の超文系人間の感想でした(笑)。
だって、六割方、医療説明のセリフで話が進むんだもーん(理解するより先に目が泳ぐ)。
最初から最後の手前くらいまではわりと平坦で、あんまり山場らしい山場もないので、ドラマ化にあたってはやはり改変せざるを得ないなと(ただし、最後の一文で結構のけぞった。りょうはお父さん犬の娘だったのかー)。

虎ノ介が演じた厚労省の官僚は殺されませんし、むしろ原作の方が活躍してました(ちっ)。
夏目の妻も拉致されず、ずーっと元気にほろ酔い加減です(笑)。
あとミッチーが演じた保険会社の森川さんは関西弁しゃべってた。
でもドラマで渡部篤郎がなんで主人公の友人なんて怪しくないヒトの役やってんだろと思ってたんだけど、原作読んだら、こっちの設定の方が彼に合ってたような気がするわ。

昔、ちょっとだけ保険会社にハケンで行ってたことがあって、その時生命保険の受取に際していろいろ調査が入る資料を仕事で読んでたんだけど、がんじゃなくても事件性があったり、故意だったりいろんな事情が見え隠れして、ホントにこのネタ持ってれば小説書けるわと考えたこともありました(笑)。
ちょうどNHKで『ラストマネー』ってドラマが放送されてた時期だったので、すっげーワクワクしながら観てたなぁ…。

で、虎ノ介の次のお仕事情報マダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチンチン
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着物一枚帯三本

帯の方が重要アイテムなのよね〜。
2カ月遅れでようやく読了。
あきない世傳 金と銀(五) 転流篇

著者:高田郁   出版社:角川春樹事務所
定価:¥626(税込) 発売日:2018年2月15日
入手経路:地元図書館にて貸出し

ええっ!江戸時代は既婚者は前帯だったの?失礼ながら、そんなかっこは花魁だけかと思ってたよ…。
わりと時代小説が好きで読んできたはずだけど、今まで全然気づかなかったわぁ。
他にも着物にどんな帯を合わせるのが良いのか、どういう帯の結び方をしたらその人を引き立てられるのか、などを店員さんが残業して講習会を開くとことか、面白かったなぁ。
今でいう「トータルコーディネート」ってヤツですよね。
「鯨帯(昼夜帯)」なんてのも、いわゆる「リバーシブル」ってことだよね。
今、半幅帯ってほとんどそんな感じだと思うんだけど…。
「みをつくし料理帖シリーズ」読んでも「料理しよう」って気にはならなかったんだけどw、着物の話は良い!着たくなる!でも着ていく場所がない!!!(笑)

呉服を商う五鈴屋のご寮さん、幸の奮闘を描く『あきない世傳』も、江戸出店の話が現実味を帯びるところまでやってきました。「商いの戦国」で、このヒロインがやがて天下を取る、っちゅーのがゴールみたいな話なので、めざすところは江戸出店=天下取りなんだろね。
大阪の壽屋が、サントリーとして赤坂にも東京本社建てた〜みたいな感じ?(笑)
 
三度目の結婚にしてようやく本当に心を通じ合わせられる理想の夫婦となったのに、せっかくできた赤ちゃんが死産だったり、当主が病を得て倒れてこの巻、終わりとか、さすが高田郁だ。主人公にそうやすやすと安易な幸せを与えない。
わたしの予想?
勿論、智ぼんは死ぬわよ(あ、言っちゃった)。
願わくは、子づくりしてから死んでほしいわね(をい)。
江戸では女が起業して当主になっても良いそうなので、旦那が死んでからが幸の本領発揮でしょう。
多分、江戸で前の亭主と鉢合わせ。彼と大勝負かけるか何かして、勝って終わりってとこね。

さて、続きの前に「みをつくし」ファンの皆様、半年後の新刊は待ちに待った特別編だそうですよ!
久しぶりに買わなきゃ…。
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Memento Mori

今まで順調に一週間に一巻ずつ借りて読んでいた『モンテ・クリスト伯』ですが、最終巻を前にして、前に借りてる人が返してくれないという恐ろしい事態が発生。
その間、先に順番がまわって来た「文學界 2018年4月号」読了。
ちなみに、昨日ようやく七巻を借りることが出来ました(遅いぞゴルァ!!)


お目当ては、来月26日公開の映画『海を駆ける』の深田晃司監督が、自ら小説化した同名短編小説です。ていうか、監督が脚本を書いて、映画を製作した後で小説化したので、セルフノベライズ?みたいな?

↑すでにムビチケとポストカードは入手済みw
あらすじ
インドネシア、バンダ・アチェの海岸で倒れている謎の男(ディーン・フジオカ)が発見される。片言の日本語やインドネシア語を話すその男は、海で発見されたことからインドネシア語で「海」を意味する「ラウ」と名づけられた。NPO法人で災害復興の仕事をしている貴子(鶴田真由)と息子のタカシ(太賀)、親戚のサチコ(阿部純子)は、記憶喪失ではないかと診断されたラウをしばらく預かり、身元捜しを手伝うこととなる。ラウはいつもただ静かにほほ笑んでいるだけだったが、そんなラウの周辺ではさまざまな不可思議な現象が起こりはじめていた。


おおぅ…。
これは…なかなかにヘヴィな、そして感想を言語化するのが難しい作品となりそうな。
個人的には、ちょっと予告やメイキングで騙されてたかもしれない。軽い気持ちで観たら、かなりトラウマになりそうな予感がするので、先に小説読んでよかった、多分。
あと、主演ディーン・フジオカを拝みに行こうと思ってるファンは、はっきり言って、思いっきり肩透かしを食らうかも…。
今日発売の「TVガイドPERSON」でも、「下手したら口数の少ないニコニコしてるだけのお兄ちゃんになってしまう」と主演俳優自らが言っていたのが頷けるほど、そこにいるだけの役なので。
彼が何かしらのアクションを起こして物語が動くというより、彼の存在によって周りが振り回される感じだし、それに付随して登場人物全てが抱えている屈託や葛藤に主眼が置かれているので、出番は少ないし、目立ちもしない。。
でも、彼の存在感なくしては映画自体が成立しないというちょっと不思議なダークファンタジーなので、怖いもの見たさで観る価値は大です。




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菊次郎の父

こないだの日曜の放送で全体の四分の一が終わった大河ドラマ『西郷どん』。
ようやく原作を読了しました\(^o^)/
『西郷どん!』(前・後編)
 
著者:林 真理子 定価:各¥1,836(税込)
出版社:角川書店 発売日:2017年11月1日
入手経路:地元図書館にて貸出し

あ、原作には「びっくりマーク」が付いてる!(←これね)…てのはどうでもいいんだけど。
読みながら、薩摩イントネーションでの再現、余裕でした(笑)。テレビの力恐るべし。
しかし、大河の原作って言うからそこそこ期待してたんだけど、もんのすごくざっくりとした西郷隆盛の伝記でしたわ、はい…。
西郷を語ることだけでもう精一杯で、史実の顛末は教科書のように淡々と語られるだけ。その史実の中で西郷がどう動いたか、どう感じたかを詳しく書くのが歴史小説ってもんじゃなかろかい。
ま、どっちにしろ、この小説の吉之助さぁは、関わる人の言い分を聞くだけ聞いて、頼まれて、右往左往しているうちに、肝心の機を逃すって感じだったけど。
とにかく、最初から最後まで西郷のスタンスは
斉彬公命!
久光公とヒー様(慶喜)憎し!
長州、わけわからん!
でした(笑)。
久光公もヒー様も今後出番が増えるのは明らかなのに、主人公がこんなに毛嫌いしてて大丈夫なの?この大河。

原作者、確か脚本家と(確か)仲良かったんじゃなかったっけ?
原作をある程度踏襲した脚本でドラマになってるのかと思いきや、須賀どんは仏頂面じゃなくてあばた面で婚期を逃したって、おいおい、全然違いもんそ。勿論、篤姫との交流なんてございもはん。
はっきり言って、大河ドラマの現状はケン・ワタナベの圧倒的存在感でもってるようなもの。斉彬公亡き後は、原作が薄けりゃ、脚本もいい加減だな〜という感想で大河が終わってしまいそうだ。

小説は、西郷と愛加那の息子、菊次郎(のちの京都市長)が語る「英雄・西郷吉之助の真実」という態を取っているわりに、その意味があるのって最後の西南戦争くらいだった。
第三者に語って聞かせる合間に現在の状況が入るっていうの、浅田次郎がよくやってるけど、彼の小説はその現在パート自体だけ取り出しても取り出してもかなり面白いんだけど、今回、全然オチがない。
マリコさんはもっとできる子だと思ってたんだけどな…。

だがしかし。唯一評価したいのは、おまっとさぁでした!
西郷の話なのに、五代様登場!(笑)
下巻77ページ、初お目見えでごわす!
五代と初めて会ったのは薩摩の仙巌園、斉彬の居間でだ。
〜ただ今、ナベケンとおディーンが同じ場面にいるのを全力で妄想中〜

小説で二人が再会するのは、吉之助さぁが初めて勝海舟に会った後。
五代様は薩英戦争で捕虜になって、久光公の怒りを買い、日本国中を転々と逃げ回ってた頃。
相変わらず舌を巻くほど有能な男である。斉彬がもう少し長生きしていたら、五代もさぞかし徴用されていたことであろうと、吉之助は残念でたまらない
そうだよねぇ…。共に斉彬公を信奉する身。意気投合しない訳がない。
ただ、いつまでも(ていうか死ぬまで)「斉彬さま親衛隊」みたいだった西郷と違って、五代様は大久保さぁと仲良くなって、明治の大阪を邁進していくんだけど。

それと、長州のやらかし案件(蛤御門の変)をどっかの大河ドラマみたいに主人公の身内の行動は正義!みたいにしないで、「純粋故に狂信的」に描いたのは良かったと思う(←超上から)。
あれ、どう考えても松陰も久坂も長州藩(と藩主)に迷惑かけてるとしか思えなかったのに、誰もそんな風にツッコまなかったんだもん。
斉彬さま命!な吉之助から見ても「もっと変」だったってのがよく分かいもしたw
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僕があいつであいつは誰だ

僕が殺した人と僕を殺した人』読了。

著者:東山彰良  出版社:文藝春秋社
発売:2017年5月 定価:¥1,600(+税)
入手経路:地元図書館にて貸出し

気になってはいたんだけどスルーしてたら、「第69回読売文学賞」受賞ということで、借りてみた本(と言っても結構待った)。
1984年の台湾で13歳だった少年3人(とそのうちの一人の弟)の交流と、2015年で起きた連続少年殺人鬼とその弁護に来た彼の友人の話が交差する形で話は進む。
少年時代の友情やどうにもならない家庭の問題などを描いた、ちょっと昔のノスタルジーを感じさせる冒険小説っぽくもあるんだけど、殺人鬼が大人になった少年たちのうちの誰かであるのに、誰なのかが途中まで分からないミステリでもある。さらに、恐らく「彼」じゃないかと見当付けて読んでたら、まさかの人物だったという「倒叙ミステリ」のおまけ付き。
なるほど、嘘はついていないけど、巧妙なひっかけ・誘導が多すぎて完敗です。

うーん…ネタバレせずに感想を書くのが非常に難しいな(笑)。

1984年なんてそう大して昔のことじゃない気がするんだけど、日本がそうだったからと言って、台湾も同じだったと考えるのは早計。
アメリカ文化へのあこがれは同じでも、軍事的緊張や同じ地域に住んでいながらもはっきり分かる外省人と本省人の違いなど、そんな過去を知らない身には遠い昔のよう。
家庭環境の違いがあっても、いざこざがあっても一緒になって遊んだ少年たちが、どうしてこうなったか。
そこには大して理由なんかなくって、たった一つのボタンがかけ違っただけ。そんなにももろい運命の糸に導かれ、一人は殺人鬼に、一人は大経営者に、一人は弁護士に。
このやるせなさを(大人の)主人公と分かち合うような小説です。

『流』もそうだったけど、東山氏の少年の描き方はシビアで同情することを許さないのに、どこか温かくて時々微笑ましい。
次作も楽しみな作家です。

書評・朝日
毎日
読売
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越境捜査

昨日、涙で目がかすんで画面がよく見えなかった『バイプレイヤーズ2』が終わりましたが、前作に出演してて、スケジュールの都合で今作ではいなかった寺島進氏が恭兵さんの相棒役でご出演だったドラマの最新刊を読了。
孤軍 越境捜査

著者:笹本稜平  出版差:双葉社
発売:2017年9月  定価:¥1,700(+税)
入手経路:地元図書館にて(父が)借り、その後読了w
警視庁特命捜査係の鷺沼と神奈川県警の一匹狼・宮野が難事件に挑む『越境捜査』シリーズ最新刊! 六年前、東京都大田区で老人が殺された。億単位の金を遺していたらしいが、見当たらない。その後、連絡の取れない老人の一人娘が、警視庁の首席監察官と結婚していたことが判明。すると、監察から鷺沼らに呼び出しがかかり、捜査に関して探りを入れられる。権力側のキナ臭い動きに鷺沼らは……。


寺島さんが売れっ子になっちゃって、もうドラマ化はないのかな〜。ていうか、そもそも「土ワイ」枠が消滅してたわ(笑)。
クールな警視庁の刑事、鷺沼(恭兵さん)と神奈川県警のお荷物で渋カワイイ宮野(寺島さん)のコンビ、好きだった。ちなみに全三作、録画済みよ。

今作でも、お蔵入りしかけた事件の犯人を追う!というよりは、既に明らかな犯人の証拠を固めるという筋立ては変わらず。そしてその犯人を追いかけると、上層部から横槍が入る+警視庁管轄の事件に何故か神奈川県警瀬谷署の宮野とかつてのヤクザの組長福富が出張ってくるのも、毎度お馴染み。
父もわたしも推理を楽しむというよりは、頑固一徹鷺沼とおちゃらけ宮野の漫才を楽しむ感覚で読んでおります。
とは言え、腐った警察上層部と出世コースから外れた刑事たちの駆け引きは、ノンストップリーディング。結構分厚いんだけど、他の本と並行して読んでるにも拘らず、あっという間に読み切った。
最後の最後でちょっと楽しいオチが付いているのも、胸がスカッとして気分爽快。
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吉田兼好はいなかった

兼好法師-徒然草に記されなかった真実-』読了。

著者:小川剛生   出版社:中央公論新社
発売:2017年11月  定価:¥820(+税)
入手経路:地元図書館にて貸出し
兼好は鎌倉時代後期に京都・吉田神社の神職である卜部家に生まれた。六位蔵人・左兵衛佐となり朝廷に仕えた後、出家して「徒然草」を著す――。この、現在広く知られる彼の出自や経歴は、兼好没後に捏造されたものである。著者は同時代史料をつぶさに調べ、鎌倉、京都、伊勢に残る足跡を辿りながら、「徒然草」の再解釈を試みる。無位無官のまま、自らの才知で中世社会を渡り歩いた「都市の隠者」の正体を明らかにする。
↑『徒然草』の作者は吉田兼好って古典でも日本史でも習ってきたのに、びっくりだよねぇ…。
あれ、でもこの学説、知ってるなぁ。ていうか、どっかで聞いたぞ→「硯にむかひて 心に移りゆくよしなし事を」 

あーそうか。金沢文庫に「徒然草と兼好法師」展に行った時、ボランティアガイドでそんなこと聞いたんだった。
2014年当時、発表された論文を一般読者向けにまとめた本ってとこなのね。
吉田兼好はいなかったけど、兼好法師はちゃんといました、勿論。でも庵で隠遁生活をする知識人というイメージからは程遠い、主人の使いっぱで京と鎌倉を行き来したり、上流サロンに出入りして歌の世界で名誉を求めたがったり、結構俗っぽい…。

著者は、今まで歴史に隠れていた兼好法師の実体を、書簡や文献、古文書(それこそ金沢文庫所蔵のだったり)から名探偵よろしく、真実を明らかにして見せる。
丹念な調査の過程が詳らかにされる過程を、ぞくぞくしながら垣間見た、気がする。

FYI
読売書評
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バッタ先生



いや、それはカマキリ先生
こんな表紙に惹かれて、図書館で予約してからきっちり半年。ようやく読了できました。


そして新書大賞受賞おめでとう!

バッタを倒しにアフリカへ
著者: 前野ウルド浩太郎 出版社:光文社新書
発売:2017年5月     定価:¥920(+税)
入手経路:地元図書館にて貸出し

似て非なるもの…カマキリとバッタ。
子どもの頃、どうしても覚えられなかったわたしは真に文系。
著者は子どもの頃、肥満児故にかくれんぼの鬼をやらされてもすぐ息が上がり、次第に誰にも相手にされなくなり、結果、一人で草むらの昆虫を観察するようになったそうだ。
そこで御母堂が昆虫の本を借りて来たところから、彼の未来が拓けたということだが、この時借りに行った図書館が「土崎中央図書館」。

な、なんだってー!
著者略歴
昆虫学者(通称:バッタ博士)。1980年秋田県生まれ。国立研究開発法人国際農林水産業研究センター研究員。神戸大学大学院自然科学研究科博士課程修了。博士(農学)。京都大学白眉センター特定助教を経て、現職。アフリカで大発生し、農作物を食い荒らすサバクトビバッタの防除技術の開発に従事。モーリタニアでの研究活動が認められ、現地のミドルネーム「ウルド(○○の子孫の意)」を授かる。

ワタクシ、育ちはともかく生まれは秋田市土崎港(←母の里帰り先で生まれたから)。
そこから急激に親しみを持って読み始めたら、もうやめられない止まらない。
ところどころで分かる人には分る秋田ネタが入り、現状、家族で読みまわしてます(Not only母 but also父も土崎に住んでいた)。

アフリカ(モーリタニア)の大地でバッタを追いかける至福の時に比べたら、無収入でも先の見通しが立たずとも、ビールが飲めずとも、何の憂いがありましょう(いや、ちょっとはあったみたいだが)。
専門的な話も興味深いけど、それ以上に砂漠に暮らす人々との邂逅が面白い。トーホグ人の懐っこさが根にあるからなのか、似た響きのフランス語がさっぱり分からないのにも関わらず意思の疎通をやってのけるバッタ博士、ステキだ。
名誉も金も脇に置き、ひたすらに好きなもの(=バッタ)を追いかけるポスドク一人。ある意味、理想の学者像ではなかろうか。

去年、やっぱりモーレツに魅かれて読んだ『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』と「フィールドワーク」という点で似た感じはするけれど、川上先生は御存知なかろう「ポスドクの悲哀」がそこかしこにあふれてるのが、80年生まれのサガか。
どっちもリズムのある楽しい文章だけど、川上先生の方が年齢が上なだけにちょっと洗練されてるかな。バード川上が「ガンダム」ならバッタ博士は「ドラゴンボール」って感じ。

でも理系の博士って、論文の対象が明確に定まってて、リサーチを重ねればデータが得られて論文を書けるっていうの、(出世につながるかはともかく)分かりやすくていいなぁ。
文系(特に文学)はねぇ…。ひたすら他人の先行論文読んで、引用するだけでした、わたしの修論(笑)。

ま、それはどうでもいいんで、カマキリ先生とバッタ博士の対談はよ。
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Change the Past!

Come on, 3 day weekend!!!
12日のDean Fujiokaライヴまでカウントダウンが始まりました〜。
これから、自分のテンションを上げるために、何かと縁のある作品をPick upしていく所存。

というわけで、『マチネの終わりに』読了。

著者:平野啓一郎 出版社:毎日新聞出版
発売:2016年4月  価格:¥1,836(税込)
入手経路:地元図書館にて貸出し
物語は、クラシックギタリストの蒔野と、海外の通信社に勤務する洋子の出会いから始まります。初めて出会った時から、強く惹かれ合っていた二人。しかし、洋子には婚約者がいました。やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまいます。互いへの愛を断ち切れぬまま、別々の道を歩む二人の運命が再び交わる日はくるのかー

中心的なテーマは恋愛ではあるものの、様々なテーマが複雑に絡み合い、蒔野と洋子を取り巻く出来事と、答えのでない問いに、連載時の読者は翻弄されっぱなし。ずっと"「ページをめくりたいけどめくりたくない、ずっとその世界に浸りきっていたい」小説"を考えてきた平野啓一郎が贈る、「40代をどう生きるか?」を読者に問いかける作品です。

これのどこが関係あるんだって?
うん。ひょっとしたらぜんっぜん関係ないかも〜(笑)。

ちょうど一年前くらいですかね?こんな芸能ネタで盛り上がったのは…↓
ディーン・フジオカ主演映画オファーで起きた前代未聞の事態
わたし、週刊誌ネタって大体六割、女性週刊誌に至っては八割くらいガセだと思うタチなんで、信憑性についてはもはやどうでもいい(←結局実現してないし)。
それよりも、この小説に関しては、又吉先生が面白いって言ってたんで、興味持ってたんです。
『マチネの終わりに』については「わくわくする。これもう男同士やったらコンビ組むやんみたいな」と天才ギタリストとジャーナリストの女性の恋愛を描いた作品に胸を躍らせていた。
(「又吉直樹が「今年読んだオススメの5冊」を発表[アメトーーク!読書芸人特集 」)
で、図書館で予約したら140人待ち、ようやく順番がまわって来たのは11か月後でした。もうBookOffで買った方が早いんじゃないかってレベル(笑)。

ジャンルとしてはバリバリの恋愛小説で、本来は食指が伸びないタイプではあるんだけど、新聞連載中から何かと話題になってたというだけあって、確かに面白かった。
「一目会ったその日から」お互いがお互いを心底理解し合える、唯一絶対的な存在となったにもかかわらず、どうしても結ばれない運命の恋人たち。
いわば「すれ違い系恋愛小説」っていったところでしょうか。
タイミングの悪さとか、強烈な意志を持った邪魔者の存在とか、結ばれないのが前提の恋愛とか、めっちゃポール・クローデルの『繻子の靴』っぽい。
あと、失礼かもしれないけど、女流作家が絶対に書かない恋愛小説って感じ。ていうか、もしこんな感じで書くなら、絶対洋子じゃなくて、薪野のマネージャー、早苗の方をヒロインに書きそう。

薪野なんてね、30代後半〜40代前半のイケメン俳優なら誰でも簡単にイメージできるんですよ。ほんと誰でもいい。
キャスティングで難航するのは洋子の方。マルチリンガルで有名映画監督のハーフの娘で英米のトップ大学の卒業生とかスペック高すぎ。
でもって、演じる側なら絶対早苗役の方に演じ甲斐を感じるだろうなぁ、とネタに便乗して妄想してみた(笑)。
小説で早苗が果たした役割とか、その手段とか、滑稽なくらいに古典的でテンプレもいいとこなんだけど、案外、恋の駆け引きなんて、古今東西変わんないのかなと思ったり。知らんけど(笑)。

そして、確かに恋愛がテーマではあるけれど、終わりの見えない紛争、テロ、難民といったきな臭い現実に、どれだけ芸術が立ち向かって行けるのかという命題もあり、いくらでも感想が引き出せる小説でした。
未来は変えられるってよく言われるけど、過去だっていくらでも新しく塗り替えられるんだなぁ。それはカズオ・イシグロ的な記憶の改竄じゃなくて、新たに知り得た事実とか、関係性の再構築ってことで。
行動や会話で描かれない、内省や思考が小説の大半を占めるので、はっきり言って映像化作品には向かないと思うんだけど、スランプに陥りつつある薪野が、洋子と戦火を逃れてきたジャリーラにギターを聴かせる何でもないシーンが、本当に美しくて、ここは音付きで是非観たいと思った。

文庫落ちしたら、絶対買う!(←今買えよw)
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