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浪花のわらしべ長者物語
厳密にはちょっとだいぶ違うかもしれないが(笑)。ん〜、でも「銀二貫」がいろんなものに姿を変えて、最後にはその値打ち以上のものを手に入れたという意味では、当たらずとも遠からず?

銀二貫
著者:高田 郁 出版社:幻冬舎
出版年:2009年6月 価格:¥952
入手経路:地元図書館にて貸出

去年からハマってる『みをつくし料理貼シリーズ』の作者による読み切り長編小説です。同じく『みをつくし』ファンのS/A様のコメントに触発されて、借りてみました。S/A様、ほんっとにありがとうございます!
物語は、大坂天満の寒天問屋の主人が、たまたま居合わせた仇討ちを「銀二貫」で買う(つまり、仇討ちを果たした方も、殺された相手の息子も、今後一切この件には関わらない)。命を落とした侍の息子を丁稚として店に迎えるが、その「銀二貫」は火事で焼失した天満宮の再建に寄進するはずのものだった…。
大坂商人にとって天満宮の再建は悲願。その再建に加われなかったという居たたまれない想い・負い目が、主人、番頭、そして主人公松吉の心にのしかかる。しかも『みをつくし』が水害なら、こっちは火事といわんばかりに、何度も大火事が起き、身近な人々の人生を狂わせていく。

侍の子から丁稚となった松吉が、意外にあっさりその運命を享受してしまうのが意外だったかな。もう少し元の身分と今の境遇との間で葛藤するのかと思ってたので。まあ、真面目で勤勉な態度はお武家育ちを偲ばせる。
松吉が想いを寄せる料理屋の嬢さんの生き様が清々しい。親を亡くし、住むところを失くし、そのうえ無残な火傷跡を負わされても前を向いて生きて行く。『みをつくし』にも通じるヒロイン造型ですね。

「銀二貫」が物語全体のキーアイテムで、ようやく集めた銀二貫が幾度となく別の目的の為に使われてしまう。ああ、またか。また寄進できなかったか…と、散々焦らされた後に素晴らしいラストシーンが用意されているのです。
番頭はんが、「銀二貫」と引き換えにやってきた松吉に辛く当たるんだけど、それだって天満宮再建を心から願い、主人思い、お店思い故に「銀二貫」の大切さを知っていたからこそ。この番頭はんが物語が進むにつれてどんどん態度が軟化して、ラスト近くではすっかり好々爺になってるのがいい味出してる。で、最後には、銀二貫の買い物は「ほんに安うて、ええ買い物でおました」(←号泣)

でもわたしが一番感動したのは、仇討ちを売った侍(=松吉の父を殺した男)が、「銀二貫」を村の為に使ったということを松吉が知るシーンだな。松吉と一緒に泣いたわー。こんな冒頭に出て来た男にまで、物語に欠かせない役どころだったというオチを付けてくるあたり、やっぱりこの作者、侮れません。

『みをつくし』も涙が出るほど感動できるシーンとセリフがいっぱいあるけど、連作長編シリーズものだから、小出しなんですよね、その感動。でも『銀二貫』は22年もの歳月が流れる大河ドラマだから、売り惜しみなんかしまへんよって。

まとめて大売り出しやさかい、覚悟しとき!

読んでる間、何回涙で視界を遮させる気やねん!ショー・ストップならページ・ターニング・ストップ?(笑)
とにかく『みをつくし』が好きなそこのアナタ!是非、ご一読を(料理の描写も美味しそう)。


ちなみに何で「銀」がタイトルになってるのかと言いますと、大坂は銀本位制だったから。銀二貫は「金に直せば三十三両」なんだそうです。一両=一石、百俵=三十五石換算で、御家人の相場が「三十俵二人扶持(=14石1斗)」だっていうから、こりゃ大金だ。
そりゃ、番頭はんも怒らはるわー。
− 日本人著者 | 21:10 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
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コメント
Wao!四年も前の記事…。

もはや松吉なんぞどうでもいい。
わたしの楽しみは、勉さんいや善さんと旦さんの夫婦漫才!
| itoyan@管理人 | 2014/03/12 10:17 PM |

いよいよon airですね。

松吉さんもええ男ですが、だんさんと番頭はんのやりとりが最高。さらに、善さんが勉さんだということで、楽しみがふくらみます。

四月に職場で「final善さん」というギャグをはやらせようとするだろうtoriaでした。
| toria | 2014/03/10 10:39 PM |

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