三代目徒然なるままボヤッキーニッキー

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遅れて読むデビュー作
「みをつくし料理貼」シリーズで御馴染みの作者のデビュー作が、出版社を変えて新装版として刊行!

著者:高田都 出版社:角川春樹事務所(ハルキ文庫)
出版年:2011年5月 価格:¥630(税込)
入手経路:横浜そごう紀伊国屋書店にて購入

連作短編集で、最後の話が重要人物の謎に迫ってるので、まとまってはいるけれど、やはりこの1冊で終わらせるには惜しい。と思ってあとがき読んだら、どうやら続編を見越しての出版社変更のようです(諸般の事情で、以前の出版社では続編は出せないらしい)。
しかし、デビュー作とは思えないほど渋いです。なんてったってヒロインの職業が、俗世にあって、湯灌場で死者の身体を清める「三昧聖(さんまいひじり)」。「得がたい手」と敬される一方で、「屍洗い」と蔑まれもする。当然、死後硬直の様子やら、見開きっぱなしの瞳孔やら、汚物垂れ流し具合やら、そんじょそこらのミステリ顔負けの死体の描写がこれでもかと。
うーん、これは間違っても映像化はできないぞ。いや、しなくていいけど。
タイトルの「出世花」は、ヒロインの名前がお艶→お縁→正縁、と名前を変えるごとに新しい人生を切り開いて行く様子から来ている。
このお縁は、武士であった父親と旅の途中で死に別れ、助けられた寺で育ったことから、地に足付いた性格というか、全体的に地味です。別に出家したわけではないので、俗世と縁を断ち切らなくてもいい。それなのに敢えてその身を潔癖に保っている。その姿が健気というより、どこか殻をかぶっているようで、敢えて華やかな世界を回避しよう、男女の「縁」から距離を置いているようにも感じ取れるわけです。
それは多分、母親が自分と父親を置いて別の男と駆け落ちしたこと、父が自分を伴って旅に出たのはその母を討つためだったということ。そんなものすごく「俗」な業に囚われ破滅した両親に対する反発でもあるし、トラウマでもあるんじゃないかと。
いつかお縁の心の底に沈めてある、感情が爆発するんじゃないかと思うと、ますます続編が読みたくなるわけで(ほら、正念さまとか正念さまとか…w)。でもそれにはまず、「みをつくしシリーズ」が大団円を迎えなくてはならないので、当分はなさそうですが。

しかし、「湯灌」を生業とするヒロインを設定することで、推理小説というか探偵小説にもなるのは新たな発見。死体を前に同心と死因をあれこれ考える場面なんて、まんま今日びの二時間ドラマのようだ。そういえば立ち位置が刑事と検死医っぽかったな。
デビュー作だけあって、まだなんとなく硬さが残ってて淡々としているけど、相変わらず魅力的な脇役が多いです。この同心も1話しか出てこないのにいい味出してたなぁ…。

ところで、お縁が暮らすお寺は今でいう新宿区下落合にあるらしい。

↑この薬王院の裏手?
とにかくこの辺りの「田舎」っぷりがすごくて、今の新宿とのギャップに驚く。ここはお江戸じゃないんですねー。
で、ここから歩いて神田まで行っちゃう昔の人の脚力に感服。

あ、ちなみに「みをつくし」最新作が8月に発売らしい。
| itoyan | − 日本人著者 | 23:02 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
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お、落ち着いていこーぜぃ…
| itoyan@管理人 | 2011/07/27 8:46 PM |

うぉおおお!! 8月10日よ早くこい〜〜!!!
| S/A | 2011/07/27 12:39 PM |

-補足-
『心星ひとつ みをつくし料理貼』
8/10(水)発売
| itoyan@管理人 | 2011/07/26 9:04 PM |

きゃー買います! 素晴らしい情報ありがとうございますーーー!
| S/A | 2011/07/26 10:52 AM |











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