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蘇我の娘
と言えば、厩戸皇子のヨメとなった刀自古ちゃんのことかー!

…と思ったそこのアナタ!『日出処の天子』読みましたね…(笑)。
そうではなくて、刀自古の兄(つまり毛人=蝦夷)の息子、入鹿の娘が主人公の『蘇我の娘の古事記』読了。

著者:周防柳  出版社:角川春樹事務所
定価:¥1,836 発売:2017年2月
入手経路:地元図書館にて貸出し

主人公コダマは入鹿の側女の娘として生まれるんだけども、乙巳の変(中大兄皇子&中臣鎌足による蘇我入鹿暗殺)が起きて(645年)、どさくさに紛れて渡来人船恵尺に引き取られて育つ。娘時代に海の向こうで白杉江の戦いがあって(663年)、何度も遷都を経験し、壬申の乱(672年)で夫を失い、幼い頃から卓越した記憶力で覚えてきた「ふることぶみ(=古事記)」を執筆するって、さすが波乱万丈な古代史を生きた女の一生…。
なんと、蘇我入鹿は皇極天皇の実子であった!

…という衝撃の設定が大前提で繰り広げられる、王家と百済からの渡来人一族の関わり合いもドラマティックですが、いかにして太安麻呂が撰上したといわれる『古事記』の編纂が、こんな成り行きでできました!というフィクションも目からうろこで面白い。
古代国家が成立する以前のヤマト王朝時代が好きな人に自信を持っておススメする。

「歴史は勝者のものである」と思ってきたけど、コダマは「敗者による歴史」を紡ぐ。そういえば『古事記』は敗者にも想いを馳せたエピソードが多いのよね…。
権力者の敵である父を持ち、その血を引くことはすなわち為政者から命を狙われ、それがために育ての一族の命運を握る娘。不幸にして盲目でありながら、盲目が故に伝え聞いた物語を記憶する。
そんなコダマの物語の合間合間に挟まれる、あちらこちらで伝え聞く「お話」が彼女の人生とリンクしていたり、同じような悲劇が何度も繰り返される王家の歴史が、そっくりそのまま今、手にできる『古事記』になっている。

『古事記』には、史実ではなくても真実が隠されているのだ。
− 日本人著者 | 21:35 | comments(2) | - | - | - |
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コメント
CHOBIちゃん、さすがにご存知でしたか(←アナタは年代が違うでしょうにw)
是非、お借りになってみてください。
| itoyan@管理人 | 2017/05/15 8:07 PM |

てっきり刀耳古のことかと………
はい、「日出るところの天子」読みました(笑)

面白そう!新居の近くには図書館あるのでみてみまーす。
| CHOBI | 2017/05/14 8:26 PM |

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