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もし天使の翼があれば


さて、本日のメインイベントは、見附の駅から歩いて5分ほどの草月会館内ホールにて上演中の『オーファンズ』です。

Kuroi様とは先月の『オーランドー』同様揃っての観劇ですが、別に示し合わせて取ったわけではありません。仕事してて、土日のどっちか一回観劇ってことになったら、「アフタートーク」の付いてくる今日のソワレを取る確率は高いわけで…。

加藤虎ノ介、三年ぶりの舞台出演!
というニュースが飛び込んで以来、事務所に東京公演を掛け合ったり(当初は兵庫公演しか発表されてなかった)、事務所にチケットを申し込んだのにスルーされたり(なんでやねん)、原作を買おうとしたらAmazonにもスルーされたり(なんでry)、いろいろあって明日が千秋楽ですよ。
意外に若いお嬢さんが多かったのは、虎ノ介ファンの年齢層が下がったのでは決してなく、孤児兄弟を演じた若くてイケメンの役者のファンの方々でしょう(ロビーの祝い花がそれを物語る)。
ああ、しまった。こんなことなら頑張って稼いで、紫のバラの人よろしくゴーカな花を送っとくんだった!

↑どちらのお方か存じませんが、誠にありがとうございます<(_ _)>

演出:マキノ ノゾミ
キャスト
トリート:細貝 圭
フィリップ:佐藤 祐基
ハロルド:加藤虎ノ介


頭の中でイメージしてたよりもっと雑然としたセットに、照明が落ちる前からフィリップが登場して、ガサゴソ動き回ってTVを付ける。
あ、TVは床の上に直置きなんだ。クローゼット、奥行きあるんだ(裏に繋がってる)。
そこへトリート「兄ちゃん」登場。
この兄弟は一体いくつくらいの設定なんだろう。読んでる時は兄弟の会話が幼いので、兄が十代後半かな〜と思ってたんだけど、観ていると二十代以上な気がしてくる(ちなみに役者の実年齢は二人とも33歳)。
トリートのがなり声が若干聴き取りにくかったけど、一目でヤバそうと分かる雰囲気がいいですね。
どうでもいいけど、帰国子女だからかアメリカンな仕草がめっちゃナチュラル。つーか脚長い。そして顔がキレイ。彼がタマネギ部隊の一員だった『パタリロ!』観たかったぜ。

フィリップは意外としっかり喋ってた。
ていうか勝手にもっと幼い喋り方を想定して読んでました。そうだよね、トリートが二十代くらいなら、フィリップもいくら無知でもいい大人か。その見た目大人な彼が字が読めず、知識がないっていうギャップの怖さが観て瞬時に理解できるから「戯曲は演じてこそ」なんだなぁ。
トリートの反応や暴力を恐れてはいるけど、決して嫌いではない。いや、この世に兄しか知ってる人がいない彼にとって、好き嫌いという以前に兄ちゃんはいて当たり前なのか。
この劇で一番変化が見て取れるのがフィリップなんだけど、その喋り方やたたずまいの演技がちゃんと変わってて、急激に知識を吸収して成長してるのを実感できました。

その兄弟の暮らしに突然割って入るのが流れ者ハロルド。

ぎゃー久しぶり、ナマ虎!(←どら焼きではない)

上等なスーツにハット姿とオールバックの髪型も『国語の時間』以来ー!
この虎ノ介のいでたちで、ハロルドの流れ者具合や胡散臭さや悲惨な子供時代を乗り切った海千山千っぷりが一発で分かるよね。ここはフツーにイケメンな俳優より虎ノ介の独断場だと思うんだー。
と言っても、彼だってかっこいいです。それもTVで観るよりかっこええ…。ていうか、TVじゃ彼の良さは伝わらないんだよ。舞台の上の虎ノ介の活きの良さったら、脂の乗った秋刀魚のようだ(←どーゆー例えww)
あとね、彼、歌ってます、「もし天使の翼があればー 監獄を抜け出せるー♪(“If I Had The Wings of An Angel”)」(←いい声!)
一幕の見せ場は、何と言っても奇術師フーディーニ張りの縄抜けと、一幕ラストのトリートに銃を突きつけるシーン。
上背のある兄弟が虎ノ介を抱えて椅子に座らせ、緊縛するところで、「そうだよね、虎ノ介じゃないと抱えるの大変だよね」とキャスティングに納得したのはわたしだけでいい(笑)。
「誘拐された」ハロルドと「身代金を奪おうとする」トリートの立場があっという間に逆転する、実にスリリングで凄みのあるシーンで、虎ノ介の迫力に泡食ってました。トリートじゃなくてもあれはびびるわ。さすがMOTHER最終公演でダイナマイト巻いてただけある(古)。


一幕終了後、舞台セットがガラリと変わります。足の踏み場もない廃屋が、なんと言うことでしょう。上質な家具とオシャレなインテリアで満たされたゴージャスな部屋へ「ビフォーアフター」(笑)。 休憩終了チョイ前にハロルドが登場してプレゼントを置いて去っていくので、この舞台、気が抜けない。そして、照明が落ちる前に再びフィリップが出てきて、包みを開けるところから二幕。
二幕は重いな〜。
「ここ泣かせどころだな」とか、「多分、ここで泣くんだろうな」と思いながら読んでても、読んでる間は淡々と、特に感情を動かされるとこはなかったんです。
でも、ハロルドに目を開かされたフィリップに、あんなに好きだったハインツのマヨネーズより、ハロルドのコンビーフがいいと言われた時のトリートにグッと感情移入しちゃって、思わずフィリップをひっぱたきたくなったからね。ええ、わたしもきょうだいの長子ですから!(笑)
あとは、フィリップが地図を持って、自分の居場所が分かった!と言うところには、涙がちょちょぎれた。
あれはまさに『奇跡の人』の「ウォーター」のシーンにつながるし、作者のライル・ケスラーもヘレン・ケラーの言葉を寄せてるからには、狙ってると思うの。
そして、最後のトリートの感情の爆発ですよ。「元気づけてやろう」と言われてもかたくなに拒否していたトリートが、息をしていないハロルドにすがりつく。
そして悲嘆にくれる兄を、すっかり大人になった弟が抱きしめる。
カーテンコール終わるまでずっと泣いてました…。
生きてる間に肩を抱いて励ましてもらえばよかったのに、死んでからそれがどんなに大切なことだったかを初めて知るトリートがもう切なくて…。

虎ノ介的には息を引き取る直前の、こんなになっても兄弟を気にかけてる姿がものすごい熱量でね。トリートに泣かされる前に、実はハロルドの芝居で涙腺が決壊してました。
あそこは、自分もDead End Kidだったハロルドから兄弟への言葉であると同時に、奇しくも十年前、33歳でブレイクした虎ノ介から、今33歳を迎えた若い二人への励ましみたいで…。
舞台自体も勿論素晴らしかったんですが、虎ノ介ファンでいて、本当に良かったなと思えた夜でした。
−ストプレ | 23:25 | comments(0) | - | - | - |
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